2013年03月09日

「マッチの日」に読む 『 鍵穴から覗いたロンドン 』


こんにちは、今日も来て下さってありがとう。

3月9日は「マッチの日」です。


あら?

ひょっとして、アンデルセンの 『 マッチ売りの少女 』 を想像した?

そうよね、「ミツバチの日」が『みつばちマーヤ〜』だったし

マッチといえば、マッチ売りの少女!と連想しますものね。


アンデルセンの作品は近々取り上げる予定があるので、

今回敢えてはずすことにしました。



いや、それだけではなくて、今日あなたにお話しする本の中に

リアル・マッチ 売りの 少女の 写真が載っていたからなの。

そうよ、物語のヒロインではなく 本物の マッチ売りの 少女 の写真がね。



・・・少女はせいぜい10歳ぐらいかしら?

栄養失調気味に痩せています。

白黒写真なので色彩ははっきりとは分かりませんが、薄汚れて垢じみた服を着ています。

子供服ではなく大人の服を仕立て直したか縫い縮めたのでしょうね。

スカートの裾がほつれてボロボロになっています。

足元は暗くてよく分かりませんが、多分裸足?


駅弁売りのように、マッチを入れた箱を首から紐で提げています。

やせた腕にはマッチをひとつ持って誰かに差し伸べるように・・・

彼女の声が聞こえてきそうです。



・・・・・オジサン マッチヲ カッテクダサイ・・・・・


他のページを繰ってみると・・・

同じような年頃の少女の姿がありました。

こちらは、頭には帽子、着ているのも古びていそうですが、

ちょっとおしゃまなレディ風。ワンピース+ロングコートで

足元は編み上げブーツ。


で、この写真のキャプションが・・・



「 路上で 見かけた 幼い 娼婦 」


えっ? 

娼婦って・・・・・

この子、まだ胸もぺったんこで 

多分 初潮すら始っていないような年頃なんですけど・・・



他にも 地獄の 餓鬼のように やせ衰えた 赤ん坊の 写真があったりして・・・


そう、これはロンドンを舞台としたノンフィクション。


但し!  但し!!

現代のロンドンではありません。

ヴィクトリア 朝時代 のロンドンです。



はい、今日の読書は 『 鍵穴から 覗いた ロンドン 』

著者:スティーブ・ジョーンズ  訳:友成純一 ちくま文庫




英国のヴィクトリア朝、それはヴィクトリア女王の治世 (1837〜1901) 

を指すのはあなたも御存知だと思います。


“ヴィクトリア朝”と聞いて、あなたのイメージするものは何かしら?


「大英帝国に日の没する処なし」と言われ、英国が世界の覇者とも

言えるほど発展した時代

世界の陸地と人口の四分の一を支配したと言われた時代

産業革命に成功して経済は繁栄した、 英国の最も輝かしい時代・・・


シャーロック・ホームズ と 不思議の国のアリス の時代でもあるわね。

ディケンズやトマス・ハーディを生み出した文化の 爛熟期だった。


また、贅を尽くした貴族や上流階級の人々の住む 大邸宅

上流や中流に属する人々の家には 執事や沢山のメイドや

豪華なお仕着せを着たフットマンたちがいた時代・・・


スキャンダルとは無縁だったヴィクトリア女王と 夫君アルバート公

の仲の良さは、庶民たちからこんな風にも歌われたほど ↓


“ ヴィッキーはね〜  アルバートに ラブラブだよん ♪ ” 



ゴージャスで豊かで平和なイメージを持たれるかも知れません。



知人にヴィクトリア朝のアンティークをコレクションしている人が

いますが、 銀の繊細な細工の腕輪やブローチ、帽子ピン、ビーズ刺繍のパーティバッグ 

レースの襟飾り、ヴィクトリア女王も愛用したという漆黒の輝きを持つジェットを

つないだ首飾り などなど ため息が出るほど素敵なものばかり・・・


英国びいきの彼女の口癖は 

「この時代の レディに 生まれたかったわ〜!」


けれども、もちろんこれは光の部分で、

光の部分が 輝かしいほど 影の部分が 闇 深いのは

あなたも御承知の通りよ。


世界犯罪史上に残る「切り裂きジャック」が夜毎に 娼婦達を惨殺した時代でもあり

貧富 の差が 際立つ時代でもあった・・・

急激な 近代化による 無理と矛盾が 噴出した 時代でもあったしね。



著者のスティーブ・ジョーンズ氏は元教師の旅行ジャーナリスト。

自分の足で歩き・目で見て・耳で聞いたことを文章に書くタイプであったようですね。


この『鍵穴から覗いたロンドン』も、ロンドンのガイドブックとし

て書かれたようですが、いまこうして読むと、ロンドンの近現代史の一端 がかいま見えて

非常に興味深いものになっています。


児童虐待 の実態や 下層階級の女性たちの仕事、教育、スキャンダル 見世物小屋、

当時のエンターティメント、高級娼婦たち・・・

思わず笑っちゃうエッチなお話、また当時の 新聞記事や 写真も見逃せません。



教科書 には(多分)出てこないような 話題がこれでもか!と・・・

単なる雑学書といってしまうには、余りにも興味深すぎる一冊でした。


さて、今日はこれでおしまい。

また明日ね。
posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 海外の小説・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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