2013年03月12日

「遊園地の日」に読む 『 遊 園 地 』 by 津村節子


こんにちは、また来て下さってありがとう。


3月12日は 「遊園地の日」になります。



さて、突然ですが あなたは (かなり前のことになりますが)

 『 危 険 な 情 事 』 というハリウッド映画を覚えておられるかしら?


封切りで見なくとも、テレビ放送などで見たとか?

誰かから話を聞いたりメディアの評判を目にしたりしているかも?


あの映画のテーマは 

おとなの火遊び&一時の浮気と思っていた男性と、

運命的な恋であると感じた女性との意識のギャップ・・・

その後のトラブルを描いたサスペンス作品でした。



あれは、ホラー映画だ! と主張する方々も多かったようです。

特に、男性の方が恐怖感は強かったようですねw



なぜ、こんな事を言い出したのかというと・・・・



今日お話しする本と、一脈相通じるテーマを持っているからです。

あっ、別にホラーでもサスペンスでもありませんよ。

ウサギもバスタブも出てこないからねw



ただ、最終場面が 遊 園 地 の中で終わるんです。

遊園地・・・それも 高い高い 観 覧 車 の上で、ね。



はい、今日の読書は 『 遊園地 』 著者:津村節子 中公文庫


これは短編集で、表題作の『遊園地』をはじめとして全部で8編の

短編が収められています。


著者の津村節子氏は 故・吉村昭氏(1927〜2006)の奥様で、

御自身も優れた芥川賞作家として長年活躍している方です。

癖の無い素直で端正な文章は、読みやすく、間違いなく「 上手い 」

作家なのですが、こじんまりとまとまり過ぎるきらいがあるかもし

れませんし、決して派手な作風とは言えないでしょう。


私自身は、この方の本領は長編よりも短編にあると考えています。


女性の心のなかに潜む “ 魔 ”というか “ 鬼 ”のようなもの

凄みを丁寧に細やかに書くことに長けている作家だと思うな。





さて、本編の主人公・薫は小学生の少女。

そう、この物語は 子どもの目線 で進行して行きます。


だから、父親の浮気もあからさまには出てこない。

けれども読者としては、充分にその状況がわかるけれどもね。



『危険な情事』の女主人公がこの作品では脇役になっているの。

だから、名前すら与えられていない。

決して暴力的なことはしない。その代わりに何をするかというと・・



相手の男性の子どもにアプローチしてゆくの。

「あなたのママのお友だちなの」と言ってね・・・・・



そして、少しずつ親しくなってゆく。

「お休みの時なんか、パパやママとどこかへ出かけるの?」

「パパとママは同じお部屋?」

「パパたちもベッド?」



初めてこの部分を読んだときには背筋がゾッとしましたよ・・・


けれど、薫は気づかない。

内緒にしてねと言う女性の約束どおり、両親には告げぬまま一緒に

遊園地に遊びに行くのですが・・・



薫が初めて異様な雰囲気を感じ取ったのは、観覧車に乗ってから。

この人は自分を突き落とそうとするのではないかと・・・・・


そして、観覧車が頂点からゆっくりと下に向かって降りてゆくとこ

ろで物語りは終わっています。



「遊園地」という楽しげなタイトルでありながら、内包するものは

とても怖い・・・と思わせる佳品でした。



よくある不倫の恋の終わった後の物語、バカな女の物語かもしれないけれど、

多分、彼女はこうして恋をひとつ葬ったのでしょうね。


ひととき燃えた不倫の恋でも、彼女にとっては大切なものだったに

違いないから。



やれやれ、今日のお話もちょっと暗めだったかな?

・・・ちょっと気分を変えましょうよ。


部屋をきれいに片付けてお掃除をして、それから(たまには)

花でも飾ろうかな。 お花はすぐに枯れてしまうけれど、

ほんの一時の美しさだからこそ、貴重かもしれないから・・・・・


さてと・・今日はこれでおしまい。

また、明日ね。









posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 日本の小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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