2013年03月20日

「ポートピア’81 開催の日」に読む 『 ダンスと空想 』 by 田辺聖子


3月20日は 神戸ポートアイランド博覧会が開催された日。


愛称は「ポートピア’81 」 神戸港にあるポートアイランドにて

1981年3月20日〜9月15日まで開催されました。

博覧会は大成功を収め、80年代後半の地方博ブームの火付け役に。



その頃の神戸を背景にして書かれた作品を・・・・・



はい 、今日の読書は 『 ダンスと空想 』

著者: 田辺聖子    文春文庫



著者はあなたもよく御存知の 田辺聖子氏。



2002年に、伴侶であった“カモカのおっちゃん”を亡くされましたが

もう長く第一線で 活躍中の作家であり、ユーモアのある みずみずしい感性で楽しい

小説やエッセイを発表して来られました。


平易な言葉で、いつの世も変わらぬ人の心を達者に描き

古典文学への造詣も深い方です。



“ おせいさん ”という呼び名はあなたもよくご存知かもしれませんね。



私自身、もうずっと長くこの方の作品を読んできましたが

一番魅かれる理由としては どの作品を読んでも

作者の、登場人物に対する “ 愛 ” が感じられて心地が良いのです。



いやいや、抽象的過ぎる・安易過ぎる表現ですが・・・・

言い換えれば、自分が創作した登場人物のことが大好き!なのかな。

また、主義主張・考え方の異なる人間に対してでも全否定はしないとも言えるかも?


あっ、例によって異論は認めますので。



わざわざこんな事を言うのは、自分の作品の登場人物を憎んでいるのでは?

と思わせられる作家さんも中にはいるから。



これ、主人公が悲劇的な境遇になったり不幸な人を描いている、

という意味ではありません。

また、テーマや登場人物が下品だから、というものでもない。



もっと、汚らしい意図というか、主人公を貶めて舌なめずりして

喜んでいるような卑しさ・・・が感じ取れてしまうというか。

で、そういう作家さんの作品は、登場人物に魅力が無いし

後味も悪く感動もない・・・・・まあ、誰とは言いませんが。



おっと、いけない話を元に戻しましょう。



この作品が書かれたのは1980〜1981年、さすがに少々古い部分もあるかもしれません。

ポートピア‘81 開催前の神戸で いきいきと働く 女性達の姿が描かれていますが

他の作品よりもやや軽めのハイ・テンションで 綴られているような気もするかな?




登場するのは 神戸に住んで 神戸で働き 神戸を愛している女性達です。

若い年齢ではなく、今でいう アラフォー世代 かしらん



ヒロインの カオルさんはオートクチュールのデザイナー。


同じような独立した仕事を持つ女性達10人ほどとグループを作っています。

シナリオライターの大信田さん・ミニコミ紙編集長のミドリさん

ブティックを経営しているけい子・手芸家のモト子さん、などなど


グループの名前はベル・フィーユ(フランス語で美少女 w という意味)



みんな 「 自分で税金を払って、中小企業 金融 機関に借金をし、

人を使って店を張ってゆく 」女性ばかりです。



そうして、毎月集まって おいしいものを食べながら歓談します。

毎回、ゲストには著名人男性を一人呼んで皆でイビる・・・ とww



また合同ファッションショーやパーティを企画したり、

神戸まつりには皆でチームを組んで、三宮フラワーロードを練り歩き

サンバを踊ったりもします。


入会の条件は「独身」であること。


ちなみに男女雇用機会均等法が施行される前のお話です。

取り立ててドラマティックな事件が起こるわけでもなく、カオルさん

を始めとするメンバーたちの活動振りを描いてお話は進みます。


そう、阪神大震災前の 神戸の姿がこの物語の中に 封印されて残っているような・・・


まあ、たまには「口説き・口説かれ」のエピソードもありますがw


それよりも、この作品の場合、田 辺 氏 一 流 の ア フ ォ リ ズ ム がかなり

散りばめられているんですよ。 地の文や 登場人物の口を借りて、ね。



実際、この世には二種類の人間がいるのだ。

ひとつのものをじっくり食べつくす人間と、

あちこちかじり散らして、広く浅く知ろうという人間。


(一部抜粋)


けれども最後は、(私のいつもいうことだけど)

人間、「気立て」である。技術なり技能なり才気なりはあるけれども、

気立てが悪い、人柄がいやみだ、というような人は、私はあんまり

好きではなく、モデルさんにまでそういうのを要求するのだから、

我ながらおかしい。


(一部抜粋)


そして、この物語の底流を流れるのは、

私たちの人生は、神さまから「 借りている 」という考え方


これ、田辺氏の他の作品にも何度も出てくるのですが

人間として生まれてきたのは「 神様から借りたもの 」だから、

いつかは 返さなければ いけません



そう、自分が死ぬときには神様に全部返すのね。



これまでの人生も喜びも悲しみも 取り組んできた仕事も何もかも。

神様は、返してもらったその人生をじっくり眺めてその人がどう

生きてきたか判断してくださるそうです。


さて、私もそろそろ 返すときが 近付いてきたような気もしますが ww


それでは、今日はこの辺でね。

また明日・・・

posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 日本の小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。