2013年03月28日

「 にわとりの日 」に読む 『 あなたみたいな 明治の女 』 by 群 ようこ


こんにちは、また来て下さってありがとう。

3月28日は「 にわとりの日 」です。


日本養鶏協会が 毎月の28日を「にわとりの日」に制定。

それでは、にわとりが登場するお話を・・・・・



はい 今日の読書は 『 あなたみたいな 明治の女 』

著者: 群 ようこ  朝日新聞社   朝日文庫


( 注:“ 女 ”には “ ひと ”とルビがふられています。)



著者は あなたも 多分ご存知の 群ようこ氏です。

最近では 映画 『 か も め 食 堂 』 の原作で 知名度が上がったかな?


派手なベストセラー作家とはいえなくとも、根強い 固定ファンをお持ちの方。

肩書きは作家・エッセイストなんだけど、 自分としては、

この方はエッセイ(読書エッセイ等)の方が お上手ではないかと考えています。


はいはい、異論は認めますよ〜


また、群氏のお得意ジャンルとして外せないものに 評 伝 があります。


『 贅 沢 貧 乏 の マ リ ア 』 は 森鴎外の長女・ 森 茉 莉 (1903〜1987)を

テーマにしたものですが、群氏の評伝を読んで 森茉莉に興味を持って

読み始めた方も多いのではないかしら?



群氏は文学賞のようなものは 受賞してはおられないようだけれど(多分)

彼女には、そんな賞は必要ないと思うし(良い意味で、ね)

第一、賞を貰わないとやっていけないという作家ではないから。



作家にとっては、読者からの支持が 一番の賞だと思うしね。

多分、御本人も欲しがってはおられないような気がするなぁ。

まあ、くれるのなら貰っておきますというスタンスかもしれないけれど・・・




賞だけは、やたらと貰って且ついろいろな文学賞の 審査員をやっていて、

その癖 まともな読解力もなく ピントのずれた 批評をしている

おセレブ w 気取りの作家さんもいるから・・・まあ、誰とは言いませんが ww




おっと いけない・・・話を元に戻しますね。



さて、この作品集は、評伝集です。

タイトルに、明治の女(ひと)とあるように、明治時代に生きた

8人の女性( 有名・無名の )たちの評伝です。



で、その中で 取り上げられている一人が

高 群 逸 枝 (1894〜1964)

社会学者、というよりは民俗学者と呼んだほうがいいかな。


著作としては『 母系制の研究 』や『 招婿婚の研究 』などの 女性史ものが多い。

「青踏」の平塚雷鳥とも親交があり、女性運動に携わってきた方。


昔々の若き日に、ほんの少〜しだけ高群逸枝の『招婿婚の〜』を

読んだことがあるけれども、もう忘れてしまった・・・

レポートを作成するための資料としてチョット齧っただけだし。



さて、高群 逸枝は 熊本県出身で、父親は小学校の校長先生。

父親の影響や勧めもあってか 師範学校に入学したけれど 病気で1年で退学。

その後は普通の女学校に転入して卒業しています。

学歴といえば、それだけ。


もちろん、進学率の低い戦前、ましてや女子の場合は 

女学校に入学する人も少なかったけれど。



ただ、仕事の功績を考えれば もっと高等教育を受けたように思っていたので・・・

つまりは独学で独自の研究を成し遂げた人なのね。


「 世 間 並 み こ の 言 葉 呪 わ れ て あ れ 」と家制度を 強烈に批判した人でもあります。



群氏は、高群逸枝を採り上げるにあたり、注目したのは 彼女が

なんと「 鶏 日 記 」をつけていたこと ww

「鶏日記」といっても、単なる 飼育日誌ではなく、あくまでもペットとしての「 鶏日記 」・・・



そう、高群 逸枝は鶏をペットにしていたの。



なので、この評伝集の中でのタイトルは


高群 逸枝 『 愛 鶏 日 記 』 www



何となく 虫が好かない人でも、その人が 動物好きだとわかると、

ちょっと見直すことがある。


また、無口で 無愛想な男性が、飼い犬や飼い猫に対して、目尻を下

げて話しかけているのを見たりすると、へえっと驚いたりする。


( あなたみたいな明治の女:高群逸枝 より冒頭抜粋 )



あー、分かります分かります。こういう気持ちは。

群氏は “ しいちゃん ”という猫と同居中の 愛猫家ですから、

こういう動物好きな人には親しみを覚えるのでしょうね。



さて、群氏は古書店の目録で高群逸枝の全集を見つけて購入、何気なく

見ていたら 日記・随筆の中に『 愛鶏 日記 』を見つけたそうです。



高群逸枝夫婦がヒヨコを飼い始めたきっかけは、タンパク質の補給のため。

鶏を飼って新鮮な卵を産んでもらうためだそうです。


そういえば昔は、結構 普通の家でも庭で飼っているお家が多かったなぁ・・・

卵はお店で買うと(当時は)高価だったからね。



鶏を飼おうと提案したのは夫の 憲三氏。逸枝は手間がかかると賛成はしなかったようですね。

丁度そのころ『 招婿婚の研究 』を書き出した頃で多忙だったし。

けれども夫は逆に、逸枝にとっては生き物を飼う事が精神的に良いのではと考えたみたい。



昭和25年3月21日、お隣の娘さんの世話で白色レグホンのヒヨコが1羽

高群家にやってきました。このとき 逸枝は56歳。



で、その日のうちにこの 鶏 に 名 前 を 付 け ち ゃ っ た の よ

あ〜あ、ダメダメ、名前を付けたら・・・情が移っちゃうんだよね。

しかも、名前が「ブーコ」だよ、 「ブーコ」!



それを「ブーコ」と名付けるところから、

二人の 生き物に対する気持ちがあらわれている


(一部抜粋)


ブーコは雌鳥ですから、卵を産んでくれます。


ブーコが初めて生んだ卵を、二人してうれしく感動して眺め、そして

「 ブーコ給与の 卵やき 」を作る。卵を生んでくれるブーコ。

逸枝は 仕事の合間を縫って、鶏のことを日記に書きつけた。


(一部抜粋)


元々 高群夫婦は 動物好きだったようですね。

( 二人の間には、息子が一人いたのですが死産でした )



で、このブーコだけではなくもう1羽飼う事になります。

今度の鶏の名前は「プーコ」  さらには「ノンコ」 ww


後になっては「タロコ」に「ジロコ」・・・笑ってはいけませんよ ww



かつて 逸枝は 有島 武郎とある女性との 情死事件 に関して、

美化されたり 哀悼の言葉を受 けたりしたことについて、


「 世 界 か ら 馬 鹿 が 一 人 減 っ た 」


と書いたという。確固とした自分の意見、自意識 を持ち、

学者として 十何年も調査を続け、女性史に関して誰もができない

研究をしている 彼女の本来の姿である。

しかし、ブーコちゃん、プーコちゃん、ノンコちゃんと鶏に優しく

呼びかける彼女もまた、高群 逸枝なのである。


(一部抜粋)



ここを読んで、私は 内 田 百 (1889〜1971)を思い出しました。

夏目漱石 門下にして 当時としては最高のインテリ先生も、

ペットのには弱かったようで ww


『 ノ ラ や 』 は涙なくしては読めない 猫 好 き の 必 読 書 ww ですから。



犬であれ猫であれ、はたまた鶏であろうともペットの可愛さは同じ事。

第三者の目からみれば愚かとしか言いようがない事でも 御本人は大真面目です。

人間よりは 寿命の短い鶏たち、逸枝は亡くなった鶏 の供養も、

人間と同じようにきちんとすませています。 なんと、お葬式まで・・・

友人からは 弔電まで届いたとか・・・それ程可愛がっていたのでしょうね。



特に子供のいない夫婦の場合、生き物が子供のかわりになっている

のではないかといわれることがある。


(中略)

子供とはまた 別の存在 だと私は思う

(一部抜粋)

子供はどんどん成長するが、生き物は年をとっても、飼い主の手から

離れるということはない。子供はそのうちに自立していくが、生き物は

そうはいかない。生まれてから亡くなるまで、責任を持って 面倒を見なければならない。



(一部抜粋)



高群逸枝は 1964年の6月7日に没しましたが、鶏たちとの関わりについて こう記しています。



< けっきょく私はおぼれたけれど、彼女たちと十数年ともに生活して


得るところがひじょうに多かった >


(一部抜粋)


そうか、頭の良い女性だけに 自分自身が “ おぼれた ”という自覚は

ちゃんと持っていたわけですね w



逸枝は、鶏たちとの関わり合いについて、

< 愛 は 理 屈 で は な く 存 在 で あ る >と書いている。


(一部抜粋)


愛は 理屈ではなく 存在である・・・・・

群氏は 高群 逸枝のこの言葉を 的確にキャッチしました。


まさしく、人間とペットたちとの関係を凝縮したような言葉だと

感じさせる一文じゃないかしら?




『 あなたみたいな明治の女 』には 他に7人の女性たちが取り上げられていますが、

いずれも存在感のある女性ばかりです。


印象的だったのは 森鴎外の母親

良妻賢母を絵に書いたような母親ではありましたが

嫁姑 問題に悩まされた人 でもありまして・・・



あとは小林信子(1873〜1906)という 普通の主婦の 日記が 興味深かったかな。

明治時代の サラリーマンの妻 として生きた方なのですが、

当時の東京の 中産階級の暮らしぶりが 具体的によく分かります。

日記は、息子さんが両親亡きあとに見つけて出版したものとか・・・・・



それでは、今日はこれでおしまい。

また明日ね。



posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 日本のエッセイ&ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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