2013年04月01日

「四月馬鹿の日」に読む 『 本当にあった?グリム童話「お菓子の家」発掘 』by H・トラクスラー


こんにちは、また来て下さってありがとう。


4月1日は「エイプリル・フールの日」ですね。

「四月馬鹿の日」とも称されます。


さて、グリム童話でお馴染みの「 ヘ ン ゼ ル と グ レ ー テ ル 」

あなたも良く御存知だと思います。

親に捨てられた兄妹が迷い込んだ 魔女が住む「 お菓子の家 」・・・・


実は、ドイツの研究家により「ヘンゼルとグレーテル」は 実際にあった

お話で、あの「 お菓子の家 」も実存していた事が分かりました



かつて、シュリーマンは子ども時代に聞いたギリシア神話に登場する 伝説の都市

トロイアが実在すると信じて 全財産をつぎこみ ついに発掘に成功しましたが

同じように グリム童話の「 ヘンゼルとグレーテル 」も実話であり、

あの「 お菓子の家 」跡も 発掘されました!



・・・・・・・・・えっ?   そ・ん・な・わ・け・な・い・で・し・ょ!    



それでは、エイプリルフールの日に ふさわしいパロディ本を・・・



はい 今日の読書は 『 本当にあった?グリム童話「 お菓子の家 」発 掘 』

著者:ハンスト・トラクスター  訳者:矢羽々 崇&たかおまゆみ   現代書館

サブタイトル:メルヒェン考古学「ヘンゼルトグレーテルの真相」


サブタイトル「ヘンゼルトグレーテルの真相」が原書のタイトルになっています。

著者のハンスト・トラクスター氏(1929〜)は ドイツの風刺画家・イラストレーター・児童文学作家

として活躍、2007年には ドイツ・カリカチュア大賞を受賞した方です。



さて、この作品は ゲオルク・オセックなるメルヒェン研究家が

グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」を 歴史的事実に基づいた実話・レポートであると

信じて、物語を 実際に検証していく形をとっています。


パロディですが、極めてレベルの高い学術的パロディというべきか・・・


実は、ドイツで発表されたのは1963年でして、当時は 一大センセーションを

巻き起こしたそうです。



何しろ、彼らの家が 何処にあったか・彼らが歩いた森の道・当時の地形

魔女の家の 基礎部分の発見、そして魔女の4つのかまど跡などが

写真つきで紹介されているのですから・・・


この部分だけを読むと、だまされてしまいそうですわ www



しかし、この本のキモ、というか要(かなめ)は むしろ 翻訳者・矢羽々氏による

解説「 グリム・メルヒェンのパロディについて 」でしょう。


翻訳者の矢羽々崇(やはば たかし)氏は獨協大学の 外国語学部ドイツ語学科 教授 ですが

(たかおまゆみ氏はドイツ語翻訳・通訳者です)

敢えて、ドイツで発表後 50年以上もたってから この作品を翻訳しようとしたのは・・・・・



「グリムはエログロ」そう思い込んでいる若い日本人が増えている。

原因は、桐生操による『 本当は恐ろしいグリム童話 』(ベストセラーズ 1998年)の

大流行であり、この成功の2匹目のドジョウを狙った類本、雑誌、漫画などによる、

いわば「エログロ・グリム」というジャンルが 確立したかのような現状である

(冒頭 一部抜粋 )


『本当は恐ろしい〜』は 桐 生 氏 に よ る 創 作 ( フ ィ ク シ ョ ン ) のはずが

前書きや 各話のあとに 挿入された( 一見学問っぽい )後書きにより、

この桐生本が 本当のグリムだと思われてしまいました・・・・・


桐生本の 前書きには 「 グ リ ム の メ ル ヘ ン を 大 胆 に デ フ ォ ル メ し て み た つもり」

とあるので、いわば グ リ ム の 二 次 創 作 と気が付く人もいたと思うのですが

ターゲットにしたのが、若年層で、また 正続合わせて 250万部以上のベストセラー

になってしまうと、普段は本を読まない層が取り込まれてしまいますので、

そこまで 読み取れなかった・・・のかもしれません。



トンデモ本であったにもかかわらず、影響力は大きく これが正しいと

受け入れられてしまったようですね。



しかも・・・・・・・・・・



◆『 本当は恐ろしいグリム童話 』著 作 権 侵 害 事 件 ◆


これまでに約250万部を販売した『本当は恐ろしいグリム童話』

(2冊、KKベストセラーズ社)に、自著の表現を盗用されたとして、

『 グリム童話/メルヘンの深層 』の著者(法政大教授)と

『 罪深い姫のおとぎ話 』の著者(作家)は、『本当は−』の著者と発行元に

出版差し止め・回収と総額約3800万円の損害賠償を求める訴えを起こした。

『本当は−』には、『グリム童話/メルヘンの深層』から8カ所、

『罪深い姫のおとぎ話』から44カ所が何行にもわたって、ほぼ同一の

表現で使われているという。


引用元: 日本 ユニ 著作権センター・裁判の記録1999下


なお、この裁判結果は 和解で終結。和解条件の 詳細は 明かさずという条件で

桐生氏が 一部書き直す という事になったようです。



う〜む・・・完全な創作でさえなかった というお粗末さ・・・・・



矢羽々氏は、たちの悪い・パロディとも言いがたい桐生本とは異なる、

良質のパロディはないかと考えた結果 この『 ヘンゼルとグレーテルの真相 』を

訳そうと決心されたそうです。


昨今の 出版状況は 厳しいので 版元も とにかく売れるものを・・・となり、


結果として センセーショナルで人目を引くものを企画したのでしょうが。



また、1980年代からグリム・ブームが続いていた事も無視できません。

従来知られていた グリム最終第7版(1857年)だけではなく、

初 版 の グ リ ム も知られるようになり 結構残酷な話も多いらしい・・・という

共通認識が広まった事も原因のひとつになったのでしょう。



さて、その後も 矢羽々氏によるグリム・メルヒェンのパロディについての

解説が続きます。


そもそもパロディとは何か?から始まり その特徴や

メルヒェンには複数のバージョンが存在するために

パロディとしては成立しやすい土壌を持っているとか・・・

また、「 メルヒェン・パロディの歴史素描 」と銘打った章も 興味深く読めました。



パロディは 時 代 を 映 す 鏡 だそうですが・・・

ところで・・・『 ハリー・ポッター 』のパロディって出ないのかなぁ・・・

著者が健在のうちは無理でしょうが、いつか伝説になったときには

出現するかもしれませんね。


どんな魔法使いが登場するやら・・・・・


最後に、桐生操氏( 堤幸子+上田加代子 )については、この『 本当は恐ろしい〜 』は

ともかくとして、それなりに興味深く読める著作も多い、事も付け加えておきましょうね。




さてと・・・今日はこれでおしまい。

また明日ね。






posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 海外の小説・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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