2013年03月18日

『 若 草 物 語 』を「 頭 髪 の 日 」に 読む  by オルコット


こんにちは、今日も来て下さってありがとう。


3月18日は「頭髪の日」です。


カンの良いあなたなら、また「若草物語」を読んだことのある あなたなら、

すぐにピンと来ると思う。


頭髪の日に『若草物語』?


頭髪・・・髪の毛・・・あっ、戦地にいるお父さんのために

自分の髪の毛を売ったジョーのことね!


はいはい 、今日の読書は『 若 草 物 語 』 です。

著者: ルイザ・メイ・オルコット (1832〜1888)



オルコット女史のこと、ここでは敢えて“ルイザ”と呼ばせてね。


原題は “ Little Women“

日本に初めて紹介されたときには 『 小 婦 人 』 というタイトルでした。

何か笑っちゃうようなタイトルですが、戦前のことだし日本語では訳しにくいタイトルかも。


まあ、ニュアンス的には「ちいさな御婦人方」とでも言うのかな?

登場するのは少女たちなのだけれど、girls ではなく 一人前の women

女性としての呼称になっています。



それが『若草物語』になったのは・・・・・



実は1933年に制作され公開された 映 画 の 邦 題 からなの。

さしずめ今なら、英語そのままで“リトル・ウィメンズ”とかになるかも、だけど


当時は、ニュアンス的にふさわしい題名によく変えられたから。


だから 『 若草物語 』とつけられて、それが本の方にも定着したのね。


珍しいケースだと思うけれど、これは素晴らしいネーミングです。

「リトル・ウィメンズ」 よりもはるかに言い得て妙の美しさもあります。


四人姉妹の物語・若草物語・・・もう このタイトル以外には考えられない ほど。

私はこのネーミングから、青々として美しい四つ葉のクローバーを連想しましたっけ。


さて、この作品が発表されたのは1868年。


ルイザが作家デビューしたのは22歳のとき。『 花のおとぎ話 』というメルヘン集でした。


もちろん、作家として食べていけるはずはなく、縫い物をしたり女中奉公をしたり

家庭教師をしたりしてお金を稼いでいました。


1867年には、少年少女向の 雑誌の編集者に職を得て ようやく経済的に安定するように・・・


その頃、ある出版社から 「 少 女 小 説 」を書いてみないか?とオファーを受けたのね。


そのことをルイザは日記にこう記しています。


「 ミスター・ナイルズが、少女向けの小説を書くようにと言った。

やってみようと返事をする。(中略) あまり気が乗らない 」



そこで、自分の家族をモデルにして、少女時代の思い出を交えて書いたとか・・・

まあ、半自伝小説といっていいでしょう。

ちなみに、挿絵は末の妹のメイが担当して描きました。



ところが、出版後はアメリカの少女たち圧倒的に支持されて続編が、その続々編が・・・と

”マーチ家の物語 ” は続きます。



作中に登場するエピソード、家族皆で作った新聞やお芝居ごっこ等

リアルな生活実感が共感を得たのかもしれませんし、登場する少女達が

決して完璧ではなく、みな 良いところ&欠点をもった少女

であることが受け入れられたのかも?


また、一応、メイン・キャラは ジ ョ ー なのですが

四人姉妹それぞれが異なったキャラクタであり、その分

読み手の感情移入がしやすかったのかもしれませんね。


あなたは四人の中で誰が一番好きかしら?




それでは、参考までに、ルイザのリアル・ファミリーをちょっと御紹介。

flower1976.jpg
1:長女----アンナ

美人のお姉さん。物語中の メ グ ですね。結婚後は2人の子どもに

恵まれているのも物語と同じ。


2:次女----ルイザ

小説の ジ ョ ー そのものとか!

ただ、ドイツ人教師のベア先生と結ばれたジョーとは違い

ルイザは独身を通しました。


3:三女----ベス

ベスはやはり ベ ス のまま・・・猩紅熱にかかった後も健康が回復できないままに

23歳の若さで世を去りました

人一倍内気ではあっても心優しいベスはルイザにとっても最も愛すべき

妹だったようです。


4:四女----メイ

絵の才能のある末っ子 エ イ ミ ー になりました。

ルイザが作家として成功してからは、ヨーロッパに留学させてもらい

画家としてそこそこの成功を収めます。


35歳のとき、15歳年下のスイス人銀行家と結婚(えっ、年下婚だったのね・・)

一女に恵まれますが、お産のあとに死亡・・・

忘れ形見の長女ルルはルイザに託され、そのままアメリカで幸福に

成長しました。


そしてお隣りの ロ ー リ ー


作品中で重要な役割を果たしている少年(青年)ですね。

彼そのもののモデルはいませんが、ルイザの知り合いの青年2人を

モデルにして創り上げたキャラクタだそうです。


1人はルイザの幼馴染で、正義感が強くて頭の良いアメリカ人青年

もう1人はヨーロッパ旅行中に知り合った、お茶目で陽気な

ポーランド人の青年だとか・・・



お次は両親といきましょう。



母親はアビゲイル・メイ・オルコット、ボストンの名家の出身です。

お隣のローレンス老人のモデルになったのはこの母方の祖父である

ジョセフ・メイ大佐ですね。


マ ー チ 夫 人 はそのまま母親の姿のようですが、追記しておくと、

当時の女性としてはかなり意識の高い人といえるでしょう。

ボランティアや今で言うソーシャル・ワーカーのような仕事をして

いたこともあったようです。


ルイザ自身も物語中の母は


「本当のお母様の半分もよく書けていない」と常々言っていたとか。




父親はエイモス・ブロンソン・オルコット。


父親を物語に登場させるに当たり、ルイザは少し悩んでしまったようですが、

従軍牧師として南北戦争に従軍させることにしました。

この事が物語の中で大きな山となり作品にとってプラスに働いているのは

あなたも御存知の通りです。



で、現実のお父さんは 教 育 家 といって良いでしょうか。


大変に教養のある学識の深い方ではあったのですが・・・

人道主義者・理想主義者・超絶主義者であり・・・


当時としては 風 変 わ り な 独 特 の 教 育 理 論 を 実 践 し た 方 です。


だって、南北戦争前のアメリカで 黒人の子どもと白人の子どもを

一緒に教えていたんだよ?

これ、当時としては信じられないほどの超リベラルなこと。


ただ、残念なことに長続きはしなかった・・・


(白人の)子どもの親からは非難ごうごうで学校を閉鎖せざるを得なかったので・・・


この学校は、そのまま若草物語の第三部 “Little Men”の

ジョーとベア先生の「ベア学園」のモデルともなっています。



理念は素晴らしいけれど、時代的には早すぎた人でしたね。

その教育理論が社会に認められたのは60歳を過ぎてからでした。


また、こうした理想主義者には有りがちな事かも知れないけれど

お 金 を 稼 ぐ こ と に は 縁 の 無 い 方 ・・・( ため息 )


で、こういうタイプの旦那さまを持った奥さんは苦労するんですわww

それは昔も今も、アメリカであろうと日本であろうと同じことw


ただ、友人には恵まれていて お金を貸してくれる人は多かったみたい。

また当代一流の識者との交流も多く、ルイザにとっては良い影響を与えたかも?


父親の負債は、ルイザが作家として成功してから全部返すことができましたが。

flower1713.jpg


あっ、そうそう、物語以外の『 若草物語 』関連本としてお気に入りの本がありますので

ついでに紹介しちゃいますね↓




『 若 草 物 語  ルイザ・メイ・オルコットの世界 』

W・T・アンダーソン  谷口由美子訳・構成・文   求龍堂


世界の文学写真紀行シリーズの一冊です。


オルコットを解説したビジュアル本なんだけど、これが、そのまま

若 草 物 語 の 世 界 と 重 な る のよ。


写真や当時の図版も豊富、家族のその後のことも書いてあるの。

オルコットの関連本は多いけれど、これが一番よく出来ているような・・・


もう一度『若草物語』を読み返してみたいなーと思ったならば

予備知識としてはもってこいの一冊になるかもしれません。

多分、大抵の図書館には蔵書としてありそうだし。



また、これだけ人気のある作品ですから何度か映画化・映像化

されていますので、映画のことなども少々・・・・・



年度・監督・ジョーを演じた女優さんの氏名の順に



1917年:アレクサンダー・バトラー監督

1918年:ハーリー・ノールズ監督

↑どちらも未見 DVD化もされていないようですが?


1933年:ジョージ・キューカー監督   キャサリン・ヘップバーン

1949年:マーヴィン・ルロイ監督    ジューン・アリソン

1994年:ジリアン・アームストロング監督 ウィノナ・ライダー



トータル的に評価が高いのがマーヴィン・ルロイ監督の 1949年版かなあ。


エリザベス・テイラーが三女、四女をM・オブライエンと姉妹の順番を入れ替えてはいますが、

多分今でも一番人気があるのがコレ。


ジリアン・アームストロング監督の 1994年版については賛否両論あるようで・・・

やや現代的すぎるきらいがあるかもしれません。特にキス・シーンは不要のような??

ただ、美術とセットは素晴らしかったなー。


他にDVD化されているものとして・・・


1970年:こちらは英国BBC放送のクラシック・ドラマ。

BBCのドラマは『高慢と偏見』を始めとして非常に優れたものが

多く、大好きなんですけれども・・・


四姉妹の性格上の欠点が誇張された脚本になっているみたい?

全体に起伏に乏しい感じがしてやや冗長。2時間程度の制限のある映画とは

違うはずなのに、出来の方はイマイチというのが私の本音。


また、ビジュアル的にはやや苦しいところが・・・

もう少し綺麗な女優さんたちを起用して欲しかったなあ (失礼!)




少女小説もしくは家庭小説の金字塔として、これからも

読み継がれていくであろう『 若草物語 』


いま読むと、悪人は登場しないし、道徳的に堅苦しい所や お説教臭い部分もあるにせよ

それでも手元に置いて読んでいきたい作品なの。


また、これほどまでに人気が続いているのは・・・・・読み手にとっては

多分、この 四 姉 妹 の 中 に 自 分 自 身 を 見 る からじゃないかしらね。



さてと、今日はこの辺にしましょうね。

また明日・・・

P.s 「若草物語」をイメージしたキャンバス・トートが有るの御存知? ( 私はこのシリーズで
「はらぺこあおむし」を持っています。)こちらは、一見無難な小花プリントに見えるけど 実は?

posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 海外の小説・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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