2013年04月23日

「サン・ジョルディの日」に読む 『 秘 密 の 花 園 』 by バーネット夫人


こんにちは、また来て下さってありがとう。


4月23日は「 サン・ジョルディの日 」です。


記念日としての定着はイマイチなんですが、スペインの聖人にちなんで、

女性から男性には本を、男性から女性には 薔 薇 の 花 を贈り合うというもの。


出版業界( 書店 )のキャンペーンの一環として始まったそうですが、

正直いって 本を贈るのは難しいよね。


でも、薔薇の花なら・・・? なので 今日は 薔薇にちなんだ作品を・・・


まず最初に思い浮かんだのは 映画化もされた名作『 薔薇の名前 』

ボーエンの『 あの薔薇を見てよ 』、フォークナーの『 エミリーに薔薇を 』・・・

日本では余り・・・田辺聖子氏の『 薔薇の雨 』かな? 年下の男性との別れを

美しく描いた好短編でしたが、今日はやはりこの作品を・・・

薔薇の花が美しく咲く庭が登場しますから。



はい 今日の 読書は 『 秘 密 の 花 園 』  by バーネット夫人



  光文社・古典新訳文庫

  フランシス・エリザ・バーネット

  訳者:土屋京子

  サイズ:文庫 507ページ




三浦しをん氏にも 同名の作品があるけれども・・・今日はこの作品です。


著者はフランシス・エリザ・バーネット(1849〜1924)なんだけど

日本ではずっと “ バーネット夫人 ”として知られていたよね。

『 小公子 』 『 小公女 』そして『 秘密の花園 』の作者として、余りにも有名な人。


おそらくは、あなたも子ども時代に 上記の作品をお読みになった事が

あると思うのですが・・・


『 秘密の花園 』については、私自身は、小学生の頃に 子ども向きにリライト

されたものを最初に読み、その後は、岩波少年文庫(上・下)で読んだかな?

今でも 手元に置いては折に触れては 読み直す作品です。


今回は、新訳が出ている事を知り、図書館で借りて読んだのが 上記の

土屋京子氏訳のものです。


基本的には 岩波少年文庫と変わりは無いのですが、訳者としての土屋氏の

こだわりが感じられる良い訳ではないかと思いましたよ。また、巻末の

解説も、子ども向けではなく明らかに「おとな」に対して書かれたものであり

かなり読み応えがありました。



そう、『 秘密の花園 』は子ども時代に読む児 童書としてではなく、オトナが

改めて 読みなおすのにふさわしい名作なのだから。



そして、薔薇の花・・・ただ、美しく華麗な花というだけではなく

いろんな意味を持つ花であることも知った今だから、ね。


薔薇は英国(イングランド)の国花であり、美しさ・豊かさを象徴する意味でも使われている花。

故ダイアナ妃は今なお敬意をこめて「イングランドの薔薇」と呼ばれているのを御存知でしょ?


単なる花としてではなく、英語の慣用句には“薔薇”を使った言葉が

非常に多いのにも気付く。“愛” “平和” “安楽”の象徴というか・・


確か、直訳すると「喉元に薔薇を飾る」で、意味が「優しく愛をこめて話す」

という慣用句もあったような?


そう、日本人にとって「桜の花」がいろんな意味を持つように、

薔薇が 愛 と 平 和 の 象 徴 になっているの。



さてさて、『 秘密の花園 』です。



この物語の主人公メアリは、『 小公子 』や『 小公女 』のキャラクタとは

かなり異なるタイプ。 可愛くもなければ、けなげな良い子でもありません。

何しろ、物語の最初から こうですからね↓



★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

メアリ・レノックスが叔父の住む広大なミッスルウェイト屋敷に

送られてきたとき、十人が十人、こんなにかわいげのない子供は

見たことがないと言った。たしかにそのとおりだった。

★━━━━━━━━━【 冒頭より一部抜粋 】━━━━━━━━━━★



「 たしかにそのとおり 」って ww


「 赤毛のアン 」のように、器量は少々アレでも、はつらつとした魅力が

あるわけでもないのね。



ヒロインのメアリは、19世紀英国の植民地であったインドで生まれ育ち、

アーヤ( ばあや )や 召使達に かしずかれ 甘やかされて育ちました。


高級軍人の父からも、パーティ好きな母からも構ってはもらえず、

病気がちで いつも不機嫌なわがまま娘。 誰からも愛されないので

愛することも 感謝することも知らない子ども・・・



9歳のとき、両親を悪性のコレラで失ったメアリは、ただ一人の親戚である

英国ヨークシャー・荒涼としたムーアに建つ 豪壮な館に住む叔父の家に

引き取られたものの、当初はなかなか新しい暮らしに馴染めません。


なにしろ、生まれてからこのかた、自分で服を着たことも靴を履いた事

もない、すべて召使に「命令」してやらせていた クソガキ お嬢様・・・


けれども、インドとは全く異なる 生活様式と気候の ヨークシャの自然の中で

メアリは少しずつ変化していきます。メイドのマーサや庭師のベンと話し合い

外で遊ぶ内に 子どもらしさを取り戻して行きます。


「 ありがとう 」と言った事も無いメアリが、人に対する思いやりを 経験から

学んでいきます。 自然児そのままのディコンとの出会い・折にふれて聞く

マーサの母親の含蓄のある言葉・・・



そうして、10年前から閉じられたままになっている 花園の存在を知り

大いに興味を持ちます。



それが “ 秘 密 の 花 園 ” ・・・かっては 薔薇の花が咲き乱れていたとか・・・



偶然、埋められた鍵と入り口を見つけたメアリは、ディコンと協力して

なんとか花園を蘇らそうとします。


そうして、屋敷の中で 誰にも知られないようにされたままの従兄弟コリンの

存在を知ります。病弱で寝たきりのまま過ごすコリンは、メアリと同じ

ように 両親から愛された思い出を持っていません



いずれ自分はおとなになる前に死んでしまうと思い込み 周囲の者も

腫れ物に触れるようにして、ただ甘やかして言いなりになるだけ。


父親も、母の死から立ち直れずに心を閉ざしたまま、花園に鍵をかけ

“ 開かずの庭 ”にしてしまいます。

妻を思い出させる息子とは、努めて係わらないようにして、屋敷も留守がちに・・・



メアリとコリン、そしてディコンの三人が心を一つにして、ベン爺さんの

協力も得て 花園を蘇らせたとき


・・・・・ “ 奇 跡 ” が起きます。



★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

「ぼくはずっと生きる。ずっとずっと生きるんだ!」 コリンは堂々と

叫んだ。 

(中略)

「そして、これからもずっと魔法を起こしつづけるんだ。ぼくは元気に

なった!元気になった!なんだか叫びだしたいような気分だ。

ありがたくて、うれしくて、そんな気持ちを大声で叫びたい気分だ!」

★━━━━━━━━━【 一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━★



いいえ、本当は 奇跡でも魔法でもないんだよね。


そう、これは 閉ざされた心が 外にゆっくりと開いてゆく物語なのね。


他者との関わりや、自然の力によって・・・美しく花開くように、

心が柔らかく愛と平和に満ちてゆく物語、といってもいいかも?



鍵をかけられて 閉ざされたままの花園は、そのまま メアリやコリンの心

といっていいかもしれません。


おそらく・・・あなたも もう気がついているのではないかしら?



「 秘密の花園 」が単なる庭ではなく、私たちの心の中にある善なるもの・

美しいものの 象徴である事を。それは生きる意欲であり 証しでもある事
を、ね。



子ども時代に読んだときには、ストーリィの面白さだけで楽しんでいた

けれど、この年になって読み直すと 新しい発見がある事に気付く・・・

まさに、名作の名作たる所以だと思うな。



さて、『 秘密の花園 』はこれまで何度か映像化されていますが

1949年のアメリカ映画では こんな感じね↓

秘密の花園1.jpg

往年の名子役マーガレット・オブライエンが主演しました。


あと、1975年と1987年の英国BBCドラマなどが有名かしら? コレね↓

秘密の花園2.jpg

どちらも余り知られていないかな? 日本ではDVD化もされていないと思う。


けれども、一番よく出来ているのが1993年制作のコレです↓ 



  監督:アニエスカ・ホランド

  製作総指揮:フランシス・コッポラ

  販売元:ワーナー・ホームビデオ

  時間:102分




映像の美しさもさることながら、キャストがイメージにぴったり。

ハリ・ポタでお馴染みの「マクゴナガル先生」も家政婦・メドロックを好演しています。

これならレンタルショップにも置いてあると思うな。

トレイラーを貼っておきますので興味のある方はどうぞ。(2分04秒)



さて、今日はこれで おしまいです。

またね・・・。


posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 海外の小説・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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