2013年04月25日

「 ギロチンの日 」に 読む 『 ぼくに 死刑と 言えるのか 』 by  北尾 トロ


こんにちは、いつも来て下さってありがとう。


4月25日は、なぜか「ギロチンの日」なんですが・・・。

1792年に フランスで ギロチンが 実 用 化 (!)された日だそうです。


当時のフランスは 革命後の恐怖政治の真っ只中、貴族・平民を問わず 多くの人々が

処刑されていました。 ヨーロッパに於けるそれまでの死刑方法は、平民は 絞首刑で

貴族が 斬首刑が普通だったのですが、これを 平 等 に (?!)かつ

スピーディに、かつ 人 道 的 に ( ←えっ? )処刑する為に 考案されました。


発明者は 医師のジョセフ・ギヨチーヌが有名ですが、似たような器械は

それ以前にもヨーロッパ各地に存在はしていました。最終的に、最も 洗練された(?!)形

で完成させたのがギヨチーヌ医師ですね。



うーん・・・ギロチンねぇ・・・真っ先にフランス革命や、マリー・アントワネットを

連想しますけれども・・・・・


ちなみに、フランスでは 1982年に 死刑制度が廃止されていますが、ギロチンそのものは

1977年の9月まで 現役で使用されていました。 グロテスクな処刑方法に思えるけれど

一瞬で 死ねるので苦しみが少なく、人道的であると考えられていたから。



さて、今日は2冊ご紹介しようかなあ・・・まず、前フリとして、この本を・・・




図 説・死 刑 全 書 著者:マルタン・モネスティエ 版元:原書房 単行本:405ページ


著者のマルタン・モネスティエ(1942〜)はフランスのジャーナリスト&作家。

タ ブ ー と さ れ る 領 域 を 独自の視点で データベース的にまとめた著作が

多いので 有名な人物です。他の著作については、ここではお話しませんので

興味のある方は検索してみてね。


悪趣味、といえばその通りなんですが、綺麗事ではない人間の一面を、

マジメに真摯に捉えた本であるとも言えるので。



さて、この本は、死刑の是非を問うものではありません。歴史的に

(ヨーロッパ中心ですが)様々な 処 刑 が ど の よ う に し て 行 わ れ た の か

という事を豊富な図版や写真で紹介した本です。古くは、動物刑・咽喉切り・磔刑・

飢餓刑・幽閉などから 現代の電気椅子や薬物注射まで全36章に渡り綴られています。


ギロチンについても第32章で取り上げられていますし、また、有名な中国の

「凌遅の刑」の写真なども掲載されています ← これは完全に “ 閲 覧 注 意 ”・・・


社会学的な興味、もしくは怖いもの見たさ?でも 興味のある方にとっては

充分に 知的好奇心が満たされる本ではあるでしょう。入手し難くとも、

地域の 基幹図書館等には置いてあるんじゃないかな?



ただ、この本はあくまでも“ 知 識 ”もしくは“ 過去の歴史 ”であって、

処刑や 死刑が切羽詰った自分の問題とは考えにくいでしょう? 

あなたも私も、殆どの人がそうだと思う、普通はね。

“普通”ではない事は、私たちは余り考えないのだけれど・・・



死刑廃止は世界的なムーブメントではありますが、現在の日本では存続しています。

今日は、その是非を問うわけではありませんし・・・また、これまでは

そういう裁判に係わるのは 限られた法の専門家の領域だったんですが・・・

近頃では事情が変わってきましたよね? そう、裁 判 員 制 度 の導入です。



2009年の5月から実施されましたが、あなたの周囲で 選ばれた方はいますか?

多分、NO!であると思うけれども、私 や あ な た が 選 ば れ る 確 立 って・・・


日本の人口を約1億人として、選挙権のある有権者を絞り、その内の70歳以上はパス

また、会期中の議員や学生、5年以内に裁判員を務めた人を除き・・・

平成23年度の実績では 約8500人に1人とか・・・これ、生涯確立で考えると、

結構高くなるのではないかしら? 少なくとも宝くじよりは高そうね・・



しかも、裁判員が担当するのは殺人事件・傷害致死・危険運転致死や身代金目的誘拐など

重罪ばかりで、内容によっては死刑判決を下すケースもあるかもしれない。


では、もしも自分が裁判員に選ばれてしまい、誰かに死刑を言い渡すはめになったとしたら・・・

という視点で 書かれた本がありますので、今日のタイトルにしました。


はい 今日の 読書は 『 ぼくに死刑と 言えるのか 』 by  北 尾 トロ


    ぼくに死刑と言えるのか

    著者:北尾トロ

    版元:株式会社 鉄人社

    単行本:255ページ



いやー、前フリが長かったですねー ww


著者は北尾トロ氏で、フリーライターとして様々なメディアで活躍中の方ですが、

最近では 裁 判 の 傍 聴 記 で名前を知られるようになったかな?


主な裁判傍聴記に『 裁判長!ここは懲役4年でどうすか 』 『 裁判長!おもいっきり

悩んでもいいすか 』など・・・


まあ、 お 笑 い 系 の裁判傍聴記なんですが、これまで関係者以外は秘密の?

ベールに閉ざされていた裁判を、日常レベルの 人間の問題として分かりやすく

伝えた功績?は大きいと思うな。



(「 霞っ子クラブ 」という女性だけの裁判傍聴サークルも結構有名で、同じ

ようなコンセプトの『 あなたが猟奇殺人犯を裁く日 』等も出版されています。)



さて、この作品は裁判員制度が実施される直前に刊行されました。北尾氏は

裁判の傍聴については慣れていても、い ざ 自 分 が 選 ば れ た ら ど う す る だ ろ う か ?

という思いからこの本を書かれたようです。なので、それまでの氏の著作とは

かなり異なったニュアンスを受けました。 ズバリ、 笑 え な い んですよ。



その点で、Amazon のレビューなどでもかなり酷評されていましたね。

また、物書きである北尾氏自身の立ち位置や、長年裁判を傍聴してきた氏にしては

弱い姿勢で書かれている点などが 甘い と評価されていましたが・・



しかし、私はそうは思えません。 逆に、この優柔不断ぶり、というか

迷いっぷりこそ共感できたのです。なぜならば、自分がそうだから・・・



北尾氏は、長年裁判を傍聴してきて、自分なりに 心の中で 量刑や判決を思い

描いてこられたそうです。慣れるに従いかなり冷静な判断も下せるように

なったとか。しかし、いざ自分が 裁判員の立場になったと仮定して・・・・・


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

場合によっては、死刑か無期懲役かの決断を下さなければならない可能性

まであるのだ。そんな場でも、冷静な判断が下せるのか。

無理だと思う。被告人の人生を左右する一票を、証拠のみを材料に、他者の

意見に左右されず投じる自信などない。有力な物証もなく、被告人が

否認している事件ならなおさらだ。自分の意見も口に出せず、裁判長に

誘導されるように、長いものに巻かれろ精神で多数派につく、情けない

自分の姿さえ目に浮かぶ。

★━━━━━━━━━━━━【 一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━★


なんとまあ、正直すぎる程正直な感想ですね。 これは、実は長年裁判を

傍聴してきた氏だからこそ、逆に迷うとも言えると思うのですが?


この本の中では、実際に北尾氏が傍聴した裁判例が「どう裁く?」という章で

取り上げられています。社会的に取り上げられる大きなニュースではなかったのですが


・79歳夫が81歳妻を絞殺した朝

・未成年の強盗強姦事件

・妻が夫を刺殺した事件


まあ、どれもこれも、やりきれないような事件ばかりなのですが、驚いた事に

皆システマティックに 流れ作業的に裁判が流れて行くんですよ。


北尾氏は、高齢者の懲役は実質的には死刑同様 だと考え、未成年の犯罪に

対して「なぜ事件が起きたのかを 誰も考えない」と嘆きます。


また、裁判員制度を理解するための模擬裁判にも出席。ここで、裁判員の

それぞれが皆びっくりする程に自分の意見にこだわり曲げようとしなかった

姿勢に驚きます。その場を なあなあで やり過ごし後で後悔したくないから

ではないかと考察するのですが・・・


また、作品中の白眉とも言えるのは、第二章の「罪と罰の意味を考えてみた」

この章では、元裁判官に聞く 無 期 と 死 刑 の 境 界 線 というのが興味深かったし

永 山 基 準 」という業界ルール(!)があることも、ね。



参考例として、あなたも御存知の「 光市母子殺害事件 」が引き合いに出されていましたが・・・

犯行時、未成年であった少年に対して一審二審とも無期懲役で最高裁で

差し戻し、その後は広島高裁で死刑、その後2012年に最高裁で死刑が確定

した事件・・・事件の残虐さや遺族感情を考慮すれば、また少年が書いた

手紙の内容等を読む限りでは、死刑もやむ無しというのが大方の国民感情

であったわけですが・・・


その他、映画監督の森達也氏との「死刑について、ちょっと真面目に話してみよう」

という対談や「杉並親子強殺事件」の裁判を傍聴しての考察など・・・・・



読了後は、ソフトカバーの単行本で255ページ程の本なのに、何かずっしりと重いものを

背負ったような気持ち
になってしまいました。北尾氏はこれからも裁判を

傍聴して自分なりに考えてみたいとの事すから、新刊が出れば私もチェックしてみるつもり。


自分的には・・・誰かに「死刑」を言い渡す日が来る事を全く考えては

いないけれども・・・でも・・・


正直に言えば、考えたくないし、敢えて眼を背けるようにしているからかもしれないなあ。

日常的な雑談や友人同士の会話で「えー、あんな残酷な事件起こしたら、

死刑は当然だよねー」なんて深く考えずに(無責任に)話してはいるけれども・・・



さて、ちなみに 裁判員制度を扱った小説作品 に興味がある方はコレを・・・↓

裁判員ではなく、新米の女性裁判官・久保珠実を主人公にした短編が3編。

今日は、どちらを紹介すれば良いか随分と迷ったのだけれど・・・

ただ、夏樹氏の作品にしては少々キレが無かったかな?  著 者 自 身 も 迷 い の 中

あるような気がするんですが・・・


    著者:夏樹静子

    版元:文藝春秋

    発売日:2013年1月



今日は重苦しい気分になってしまったかしら? ごめんなさい。

・・・次のアップは暗くないのを、ね。 そう、リラックスできる作品かも ww

それでは、今日はこれでおしまい。

またね・・・。


posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 日本のエッセイ&ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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