2013年04月27日

「 婦人警官 記念日 」に読む 『 ブ ル ー マ ー ダ ー 』 by   誉 田 哲 也


こんにちは、いつも来て下さってありがとう。


4月27日は「 婦人警官記念日 」・・・昭和21年4月27日に 日本で初めて

東京警視庁で 女性の警察官が採用された日です。但し、当時は 逮捕権限を

持たない、実質的には事務職が殆どだったそうです。



現在は“ 婦人警察官 ”ではなく “ 女 性 警 察 官 ”と呼び、白バイ隊や幅広い

職務で活躍中、もちろん “ 刑 事 ”もね。 女性の名探偵(ミス・マープルとか?)

だけではなく、最近では 警察勤務の 女 性 刑 事 の 物 語 も多くなりました。


柴田よしき氏の「 村上 緑子 」や、乃南アサ氏の「 音道 貴子 」についても

いつかお話する機会もあると思いますが・・・



今日は この方に登場して 頂きましょう。 姫 川 玲 子 サン 、どうぞ!


はい、今日の読書は 『 ブルーマーダー 』です。    by 誉 田 哲 也


    ブルーマーダー

    著者:誉田哲也

    版元:光文社

    サイズ:単行本 436ページ

    発売日2012年11月



著者は 誉田哲也氏です。著作がドラマ化や映画化される事も多くなったので

その分、ファンも増えて 1作ごとに力をつけている作家と呼んでも良いと思う。


シリーズ物では 警視庁特殊犯シリーズ『 ジ ウ 』、女子高生を主人公にした

『 武 士 道 シ リ ー ズ 』 、そして今回の『 姫 川 玲 子 シ リ ー ズ 』!



姫川玲子が初めて登場したのは、2006年の 『 ス ト ロ ベ リ ー ナ イ ト 』 から。

当時は、警視庁 捜査一課・殺人犯捜査係の主任であり、役職は 警部補。


ちなみに、警察官の役職ランクをざっくり言えば 巡査 → 巡査部長 → 警部補 → 警部

→ 警視 → 警視正と 出世の階段があります。 ちなみに玲子はノンキャリア組、ね。

警部補というのは、一種の 中間管理職的な位置づけかなと理解しています。



その後、『ソウルケイジ』 『シンメトリー』 『インビジブルレイン』 とシリーズは続きました。

もし、あなたが姫川玲子のシリーズを未読であれば『ストロベリーナイト』から

順番に( 時系列順 )読んでもいいし、どれかを単独で読んでもいいと思う。



短編集『 シンメトリー 』や 派生した作品である『 感 染 遊 戯 』なども充分に楽しめると思うな。

基本的には・・・ミステリというよりは 「 警 察 小 説 」として読むといいかな? 

警察という組織ならではの、困難や苦しみ・矛盾もある作品として・・・



扱っている事件は 結構 陰惨なのだけど、吹っ切れたような明るさをも

備えた作品なので、後味はどれも悪くないし。


また、若い独身女性として 当然恋もするのだけれど・・・フィジカルな恋愛については

彼女は少々問題を抱えている・・・17歳のとき、連続婦女暴行犯の犠牲に

なった事があり、その時の恐怖を現在でも完全に吹っ切ってはいない。


前作の『 インビジブルレイン 』では、立場上好きになってはマズイ男を愛して

しまったりもした。 そういう屈折した部分を抱えているのが彼女の魅力でもある。



また、玲子の天敵 ww ともいうべき悪徳警官の 勝 俣 (本作でも登場!)が

玲子を評してこう言っているのが 興味深い。これが他の警察小説の主人公と全く

異なる特異点・・・なのか?


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

───自分では無意識なんだろうが、お前はおそらく、ホシ(犯人)の意識

に 同調してしてるんだ。なんの根拠もなしにホシを言い当てたり、行動を

読んだりできるのは、おそらく、お前がホシと極めて近い思考回路を

持っているからだ。


★━━━━━━━━━━━━【 一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━★


勝俣の見方が 正しいのかどうかは私には分かりませんが・・・


そして、本作『 ブルーマーダー 』では、異動があり 玲子は都内池袋署の

刑事課 強行犯捜査係に配属されています。肩書きは担当係長。


対決するのは “ ブルーマーダー ”と呼ばれる殺人者・・・“ Blue Murder ”

青き殺人(者)とでもいうのか・・・殺人時に、ブルーのベネチアンマスクを

目元に装着しているのを偶然見られて、水面下でそんな渾名が付けられたようですが・・

ちなみに、ベネチアンマスクって、こんな感じね↓ これが一番シンプルなタイプ↓


ブルーマーダーは、池袋を中心として 指定暴力団や 暴走族上がりの半グレ集団、

不良中国人のグループ達を手当たり次第に殺しているように・・・見える。

殺すターゲットとしている相手を どんな基準で選んでいるのか不明。


いわゆる無差別殺人ではなさそうです。しかも、殺し方が独特で鑑識が首を

ひねるほど・・・鈍器様のもので 執拗に全身を殴りつけて撲殺、全身の骨が

ほぼ折られた 無残な状態で発見されます。



どのようにして?  何 の た め に ?  な ぜ ?  彼らを殺しているのか?



これが 今回の事件のテーマになります。


また、この物語の中で、殺人者のブルーマーダーと その仲間たちは最初から

姿を現しています。 借金を抱えて 四苦八苦しながら ヤケになり覚醒剤に手を

出して 失敗した鉄工所のオヤジ・・・彼がブルーマーダーの武器を造ります。


また、仲間から 執拗にリンチに近いような嫌がらせを 受け続けている若い男・・・

「 もう・・・閉じ込められて、殴られて、脅されて・・・奴隷になるのは、嫌だ・・・ 」

そう言って、ブルーマーダーに心酔・協力します。



そしてブルーマーダー・・・冷酷極まりない殺人を犯しながらも、あれ?と

思う程に 律儀な、真っ当で冷静な一面を持っている・・殺人はしても

飲酒運転はしないとか ww


読者として読み進めて行く内に、大きな疑問がわいてきます。それは・・・



ブ ル ー マ ー ダ ー と は 何 者 な の か ?



そうして、後半になって、かって玲子とチームを組んでいた ベテラン刑事の

下 井 が登場する頃から ブルーマーダーの正体が少しずつ明らかになってきます。


どうやら・・・元警察官のらしいのですが・・・退職して身を持ち崩していた

彼を、下井刑事は “ あ る こ と ”を頼みます。

それは、暴力団の内部に入り込んで 信頼を得て、情報を警察(下井)に流す事・・・


いわゆる“S”と呼ばれる ス パ イ ですね・・・それがこの殺戮の 遠因になってしまう。



クライマックスでは、菊 田 ともう一人の刑事を人質にして アジトに立てこもった

ブルーマーダーを 説得するため 玲子は単身乗り込みます。


それはまさに「対決」といっても良い名勝負でした。


以前のように部下を殉職させたくない責任感を感じたせいでもあるし、

また部下ではあっても 異性として愛しそうになった 菊 田 を 守 り た い という思いもあったから。



そうして、逮捕され、最終的には 勝俣や下井の尽力で 真実を知ったブルーマーダーは

罪状を全て隠すことなく認めるでしょう。



ひょっとしたら、これからの取調べ中にも 自分が殺した相手の事を申し訳ない事を

したと 心から思うかもしれないね・・・ けれども、最後の最後になって

姿を現した 本当に許せない相手に対しては こう言い放ちます。



「・・・あ ん た だ け は 、化 け て で も 殺 す 」



正義とは何か? ということを 胸元に鋭い刃で 突きつけられるような思いを

受けた読了感でした。


しかし、後味は悪くはありません。誉田哲也の作品は「イヤミス」ではありませんから。

また、猟奇的な殺人が嫌悪感をもよおす方は そもそも読まないだろうし、ね。



今作にしても、ストーリィと直接的には関係ない部分でも 個性豊かなキャラクタ群像を

充分に楽しめて、それが作品中の息抜きにもなっている。


玲子を 眼の敵のようにして イビル勝俣にせよ、無くてはならぬキャラクタだからね。

彼は 正攻法ではない ww 能力は充分にあるから。



やはり、そこには “ 愛 ”があるのかしらん(爆) もう、勝俣サンったら、

玲子ちゃんが 好きなら好きと言いなさいよ〜(大爆笑)


さてと・・・今日はこれでお終いです。

またね。



posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(1) | 日本の小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 婦人警察官、婦警さんと親しまれました。現在、この言葉は「女性警察官」と変わりました。個人的には、「婦警さん」が好ましいですが、問題があります。高卒で採用された場合、未成年で第一線の警察署に配属されます。「婦人」とは、成熟した女性の意味があり、未成年では、まだ人間的に未熟でしょう。
 法令にも、女性の「身体検査」をするには、成人の女性を立ち合わせる旨の文言があり、女性の警察官の全てを「婦人警察官」と呼ぶには無理があり致し方ありません。
Posted by 桜田靖 at 2016年01月14日 10:35
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