2013年05月01日

「メーデー( 五月祭 )」に 読む 『 川の ほとりの おもしろ荘 』 by リンドグレーン


こんにちは、いつも来て下さってありがとう。


5月1日といえば・・・「 メーデー May Day 」ですが、本来はヨーロッパの

五 月 祭 」からきています。 ヨーロッパ各地の、キリスト教伝来以前に

さかのぼる、春 の 訪 れ を 祝 う 祝 日 です。 その 前 夜 祭 が ヴァルプルギスの夜・・・。



本来は、北欧神話の主神 オーディンがルーン文字の 知識を得る為に 一度死んだ日

であり、スウェーデンでは 聖女ヴァルプルギスを祝う日(5月1日)の前夜祭として

夕方から 大きな焚き火に火をつけ、その周りで 歌を歌いながら 春を迎える行事があります。


↓ ↓ そう、こんな感じでね ↓ ↓

おもしろ荘1.bmp

( 映像引用:「川のほとりのおもしろ荘」DVDより ) 


そうして、みんなで「五月火」と呼ばれる 焚き火を囲んで歌います。

「おお、晴れやかに、五月の太陽が微笑む!」 そう、北欧の五月は 春の訪れの日!


それでは、この五月祭の前夜祭から始まる物語を・・・・・



はい 今日の 読書は 『 川のほとりのおもしろ荘 』  by リンドグレーン


    川のほとりのおもしろ荘

    著者:アストリッド・リンドグレーン

    訳者:石井登志子

    出版社:岩波書店

    サイズ:岩波少年文庫380ページ



著者は アストリッド・リンドグレーン( 1907〜2002 )スウェーデンの有名な

児童文学者で、あなたもよく御存知だと思います。『 長くつ下のピッピ 』の

シリーズ、『 ロッタちゃん 』のシリーズ、『 やかまし村の子どもたち 』・・・

スウェーデンの 国民作家といっても良いでしょうね。



小学生の頃、初めて読んだのが 孤児のラスムスと 風来坊のオスカルを 主人公にした

さすらいの孤児ラスムス 』そして『 名探偵カッレくん 』など・・・


『 川のほとりのおもしろ荘 』は『 おもしろ荘の子どもたち 』の続編になります。

子ども時代ではなく、実際に読んだのはオトナになってからです。


きっかけは、映画DVDの映像が 余りにも美しかったからですが、

子ども時代に読む 子ども向けの本・・・ではなく、完全にオトナになってから

読んでみると、多分 昔の自分なら気がつかない事などが いろいろと見えてきますね・・・


さて、『 川のほとりの〜 』の舞台は、リンドグレーンの故郷である 南スウェーデンの小さな町。

主人公の女の子の名前は マディケン 。7歳です。川のほとりにある「おもしろ荘」と

名付けられたお家にパパとママ、そして妹のリサベット、住み込みの

美人の女中さんアルバと一緒に住んでいます。



このお話は 5月祭の前夜祭の朝、マディケンが目覚めたときから始まり、

翌年の前夜祭の夜でおしまいになります。マディケンの1年間の物語・・・。



これといってドラマティックな事件が起るわけではありません。

時代的には100年ぐらい前でしょうか。 ( 日本で言えば明治時代かな? )


マディケンのパパは新聞記者で、暮らしぶりを見ると中産階級の それなりに

恵まれた家庭。両親ともに、この時代にしてはかなり リベラルな考えの

持ち主でしょうね。物語を読み進む内に段々と分かって来るのですが・・・



おしゃまで口が達者な妹のリサベットは、まだ学齢前だと思われますが この姉妹、

典型的な「 姉 」と「 妹 」タイプなんですよね。 妹のリサベットは末っ子の

せいか甘えん坊でチョットわがまま。わざと汚い言葉を使って オトナを困

らせたりもします。でも、お姉ちゃんのことは大好きで、ママに赤ちゃん

が生まれる事を知ると、マディケンに 弟でも妹でもいいけど 私以上には

可愛がらないで欲しい
とお願いします。

おもしろ荘4.jpg

( 映像引用:「川のほとりのおもしろ荘」DVDより 向かって左がマディケン、右がリサベット)


お隣の「きらく荘」と名付けられた 小さな家に住んでいるのは ネルソン一家

おじさんは・・・何をしている人かよく分かりません ww いつも機嫌良く酔っ払って

哲学的な事を 言ったりしている姿はよく見るのですが。



家族の生計は、主に15歳になる ひとり息子の アッベ がクリングラという

クッキーを焼き、おばさんが市場で売っています。生活は・・苦しそう。



そして、マディケンは・・・ア ッ ベ の こ と が 大 好 き ・・・・・!!



お兄ちゃん的に好き、というよりも、幼いながらもそれは まさしく“ ”そのもの。

もちろん、アッベの方はそう思ってはいないでしょう。 お隣の 可愛い小さな女の子で

自分に懐いてくれているから 可愛がっている・・・という感じかな?

少なくとも 今のところは。



映画では、この 微 妙 な 空 気 感 が見事に演出されていました。



マディケンが、ネルソン家の台所に入っていきます。

そこではアッベが、いつものようにクリングラを作っている真っ最中。

マディケンに気づいたアッベは、軽く挨拶をします。


もう、それだけで マディケンは嬉しくなってしまったのか、口元には

隠しきれないほどの 微笑が・・・


粉を練っているアッベのすぐ傍まで近寄り、じっとアッベを見つめるマディケン。


「ん?」とばかりに、マディケンの視線に気づいたアッベは 「はい!」と言って

焼きあがったばかりのクリングラをマディケンに与えます。


( お菓子が欲しいのかな? )とでも思ったのでしょうね。


でも、マディケンはお菓子が目当てではなく、ただアッベを 見 つ め て い た い だ け

なんですが ww


一瞬、虚をつかれたようになって お菓子を受け取ったものの、傍らの

椅子に腰掛けて、すぐには食べずに 相変わらずじっとアッベを見つめるマディケン・・・


好きよ、などと言う セリフは一言もないのに 恋する想いが伝わって来る

さりげなくて可愛らしいシーンでした。



★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

じつは、マディケンは ほかのだれでもないアッベと結婚しようと、

ひそかに 心のどこかできめています。アッベがしたくなくともかまいません。

そのときは、ほかのだれとも結婚しないだけです。

★━━━━━━━━━━━━【 一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━★



けれども・・・マディケンの望みは、多分かなえられないでしょう。

いま、オトナである自分には、それがはっきりと分かるような気がします。



現代ならばともかく、階級差・貧富の差が・・・あり過ぎるから。

また、気持ちが変わることも有ると思うしね。


けれども、そんな事は別にかまわないのです。幸いにして、この物語には

続編がありませんからね。

マディケンの心は、この 物 語 の 中 で 結 晶 化 さ れ て、永 遠 に 美 し い ま ま 残 る

のですから。



アッベが 重い肺炎を患ったとき、マディケンは必死に神さまにお祈りします。

胸の奥に 痛みを抱えたマディケンは、もしアッベが死んでしまったら、

この痛みは一生続くのだろうかと考えます。


苦しんでいるおじさんや おばさんのために そして大きくなったら シベリア横断鉄道に

乗りたい・北極探検にも行きたいと望んでいるアッベの為に。


アッベに、クリングラを焼く事以外のことをさせてあげたいと思い、祈ります。

そうして、最後に「それと、わたしのためにも生かしてください」・・・・


わ た し の た め に も 生 か し て く だ さ い ・・・・・


幼いながらも、人を愛する気持ちとは どんなものなのか、出来の悪い 恋愛小説よりも

はるかに リアルに切実に分からせてくれるエピソードでした。



もちろん、アッベのことだけではありません。マディケンの周囲の様々な

人たちの事が語られていて、その中でも重要人物 ww と言えるのが級友の

ミ イ ア です。



ミイアには お父さんがいません。 頭はいつもシラミだらけで 態度も反抗的。

「 あたしらは、貧乏だから お父さんを持とうとは考えていません! 」なんて言ったりして・・・


お家が貧しいせいか、お昼のお弁当も持って来られません。気づいた

マディケンが自分のサンドイッチを差し出しても 絶対に受け取りません。


悪い事をしても、素直に「ごめんなさい」と言えないタイプです。

気の強さではマディケンとはいい勝負なので、ケンカはしょっちゅうですが

実は マディケンの事は 子どもなりに認めています。


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

じっさい あんたは おすまし屋さんじゃない。

いくら そんな茶色のきれいな髪をしていても、いい服を着ていても。

★━━━━━━━━━━━━【 一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━★


こんなミイアとマディケンの、子ども同士の 意地の張っこが懐かしいような

筆致で綴られています。

ああ、そういえば・・・子どもの頃ってそうだったなあ、など 忘 れ て し ま っ た 気 持 ち

戻ってくるような・・・



この物語は、明るい 子ども向けの お話ではありますが、おや?と思う程

社会派(?!)的な面がさりげなく語られていたりもします。



リンドグレーン自身が 教員経験もあり、社会思想家のエレン・ケイとも

交友があったので、その影響があったのでしょうね。


読んだのが 子どもの頃であるならば、気がつく事はなかったでしょうが・・・



もし、あなたが未読であれば、一度は読んで欲しい作品の一冊です。

映画化されてDVDも発売されているのですが、残念ながら今はずっと

品切れ状態・・・私も入手したのはオークションでした。



北欧の子ども映画って、映像が綺麗で 独特の美しさがあるものが多いのですが、

似たようなテイストだと 『 ヘイフラワーとキルトシュー 』 が良かったかな?

 

これは フィンランドの 現代映画で、しっかり者の お姉ちゃんと 超わがままな ww 妹の物語。 

両親は どちらもダメ親 ww というのが何とも笑えました。

明るくて楽しくてポップで・・・少々 ビ タ ー な 味 わ い も・・・。


さてさて・・・今日はこれでお終いにしましょう。

またね。


posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 海外の小説・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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