こんにちは、いつも来て下さってありがとう。
5月18日は「 ことばの日 」5月(こ)18日(とば)の語呂合せから生まれた 記念日です。
ことば・言葉・・・非常に範囲が広いですが、丁度読み終えた作品にズバリのタイトルが
ありました。 ただし、小説作品ではなく 漫 画 なんですが、クォリティは
読み捨ての三文小説よりも高いはず・・・

言霊
著者: 山岸凉子
出版社:講談社
サイズ:コミック
著者は3月3日にもお話した 山岸凉子氏です。『アラベスク』で バレエ漫画の新境地を
開いた山岸氏。連載に 10年間かけた 『 テレプシコーラ 』 は雑誌「ダ・ヴィンチ」の
連載中から楽しみに読んでいました。 そんな氏の バ レ エ も の 最新作!
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心と言葉。 あまりに密接な関係。
バレリーナを目指す16歳の澄(さやか)は、ライバルたちの言葉に、
動揺する日々を送っている。
本番に弱いというメンタルを克服しなくては、夢をつかめない。
そう思った澄(すみか)は、ここから抜け出す方法を考え始める───
★━━━━━━━━━━━━━【裏表紙より】━━━━━━━━━━━━━━━★
お嬢さんがバレエを習っている知人が何人かいます。
殆どが子ども時代から習い始めて、高校受験をきっかけにして止める子が多いと聞きました。
後は やめないにしても、部活感覚で軽いレッスンを続ける位かな?
それ以上を目指して頑張り続けるのは、ほんの一握りしかいないそうです。
また、これ位の年齢になると、本人の才能の有る無しもハッキリしてくるそうです。
技術的には1つの臨界点に達するとか・・・
「 才 能 の 限 界 」といってしまうのも残酷なようですが、
さらに技術を磨く為には自宅にバーのあるレッスン室も必要になるし、
週に2回のレッスン程度では追いつかないのが 現状との事でした。
「それに続けるのは 半端でなくお金がかかるからね」とも・・・
この物語の主人公・ 澄 (さやか)は 16歳の高校一年生。
プロを目指して頑張っています。この年齢で はっきりとプロを目指す意識があるのは、
技術が一定レベル以上あるって事ですよね。
だから、レッスンでは結構高度なことも出来てしまう。
けれども、通っているバレエスクールの発表会で 彼女に振り当てられた役は 3番手・・・
主役に選ばれたのは 先生の姪である梓。 彼女は1年前のコンクールで 5位入賞を果たして
いるので当然かもしれませんが、澄は内心では不満に思います。
技 術 的 に は 誰 に も 負 け な い はずなのに、コンクールの演技では
最後の最後に失敗をしてしまいました。
得意なはずの回転技で、レッスン場では失敗した事もないのに!
梓からは「 レッスン場では無敵だもんね 」などと揶揄されて、事実であるだけに
益々落ちこんでしまう澄・・・
本 番 に 弱 い のが澄の最大の弱点で、バレエは一瞬の舞台芸術だけに 本番が全て
なのです。 そこに至るまでのコンクールにしても本番が全て!
そんな澄が、自分の演技を成功させるための ジ ン ク ス としているのは
他 者 の 失 敗 を 願 う こ と !
・・・しかし、他者が成功してしまうと 逆に益々自信を失ってしまうというジレンマがあります。
そして、そんな自分に罪悪感さえ感じてしまうのです。
そんな澄に転機が訪れたのは、ローザンヌで入賞してドイツのバレエ学校に留学
が決まった 聖 也 く ん と知り合ったこと。
彼は、澄の技術の確かさを高く評価し、バレエ学校入学後もオンラインを通じて
身体とメンタルの関係についてアドバイスもしてくれます。
コンクールの演技などで、「これで最後!」と思うと失敗しがちなのは
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これで「最後」と思うと、そのとたん大脳がすべての運動機能を停止させるらしいよ
★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★
そう、脳はすべての言葉に影響を受けるんですよ・・・
バレエに限らず、どのような運動競技にも当てはまるようですね。そういえば
身に覚えもあるような? 安心するからダメなのか、と思っていたのですが・・・
これをきっかけとして、澄は心と身体能力の関係に思いを馳せるようになります。
さらに、新たなるコンクール挑戦を機会として、澄の意識を変えたものがありました。
これまで他者を「失敗しろ!」と望んでいた自分がいたけれど、その「言葉」は
他者に向けて(心の中で)言っても、聞 い て い る の は 自 分 なのだから!!
それでは、本当に 実力を発揮させる為には どうすれば良いのか?
・・・・・コンクールが始まりました。
ちなみに 澄ちゃんが踊ったのはコレ↓ですね。演目は「ドルシネア姫」
踊っているのはスヴェトラーナ・ザハーロワ、ロシアの有名なバレリーナです。

(画像引用:http://www.youtube.com/watch?v=XoD1kGIxHVY)
これまで山岸氏はバレエのみならず「 言 葉 」の意味するものをよくテーマに取り上げてこられました。
今回の『言霊』は、そんな言葉に縛られてきた 少女の葛藤と、成長の物語です。
長編ではなく一冊の半分くらいの中篇ですから、やや軽い感じも否めませんが
それでも読後感もよくて質の高い内容であったと思います。
残りは お得意の怪談エッセイですが、タイトルが『 快 談 ・ 怪 談 』でして
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でもね 怪奇物から10年遠ざかっておりましたら
今のわたしはこの世界では浦島太郎状態
もはや世の中 不思議の話は 珍しくもなんともないのでした
★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★
こう御本人が仰っておられますが、これは怪奇物ではなく山岸氏の生活エッセイ
に近いものと思って読めばいいでしょうね。
それでもやはり、この方の周囲には 結構不思議現象が多いような www
さて、それでは今日はこの辺で・・・またね。
