2013年05月23日

『 浦 島 太 郎 』( 作者不詳 ) を 「世界亀の日」に読む


こんにちは、今日も来て下さってありがとう。 5月23日は「世界亀の日」です。

亀について知り、生存と繁栄のために人間がお手伝いしましょうという日です。


保護が目的なのでしょうが、このブログの趣旨的には・・・ さんが登場する作品として

日 本 で 最 も 有 名 で人口に膾炙した作品といえば・・・コレでしょう。

リクガメではなく、ウミガメですがww


はい 今日の 読書は 『 浦島 太郎 』  ( by 作者不詳 )


誰でも知っている『 浦島太郎 』の物語・・・多分あなたも子ども時代に 日本昔話集や絵本などで

一度は読んだことがあると思います。


実は、この物語には幾 つ か の パ タ ー ン があるのですが、最もスタンダードなものは

子ども向けの昔話&おとぎ話 ↓↓

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

1:時代と地域の特定はされていない

2:主人公の名前は 浦 島 太 郎 という漁師

3:虐められていた を助ける

4:竜 宮 城 に招待されて 乙姫様のもてなしを受ける

5:故クが恋しくなって帰りたいという

6:玉 手 箱 をもらうが「決して開けてはいけない」と言われる

7:故郷に帰っても自分の家も両親もいない。

8:自分がいなくなってから 3 0 0 年 たっていることを知らされる。

9:途方にくれて玉手箱を開けると、中から白い煙が出てきて

10:あっという間に白髪のお爺さんになってしまった。

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

浦島太郎.jpg

     浦島太郎・・・と聞いて

     思い浮かべるのはこんな感じかな?

     玉手箱を持っているから、これは

    竜宮城から故郷への

     帰り道・・かな?



実は、この物語は、近 代 になってから この形になったものです。

明治政府が、それまでの伝承説話であった浦島伝説を 国 定 教 科 書 (尋常小学読本

「ウラシマノハナシ」)に載せるために子ども向けに改変したもの


(明治43年から昭和24年まで)また、それ以前に児童文学者の 巌 谷 小 波 が著した

『 日 本 昔 噺 』にも「浦島太郎」として収められています。 巌谷小波は国定教科書の

編纂にも関わっていました。

また、♪ 昔々 浦島は 助けた亀に乗せられて ♪ で始まる歌も 明治44年から歌われだ

した 文部省唱歌です。

但し、基本的なストーリィは変えずに、付け加えた部分とカットした部分があります。


1:虐められている亀を助けた ← この部分を付け加えて「良い事をしたら良い事

がある」という報恩の物語に強調


2:竜宮城での乙姫様とのベッドシーン ← 当然、この部分はカットでしょう ww



さて、この浦島伝説の 起 源 ですが・・・かなり古いことに改めて驚かされます

最初に記述されたのは 『 日 本 書 紀 』 の雄略天皇の条で、その次が 『 万 葉 集 』

そして『 丹 後 国 風 土 記 』 と続き、物語として完成したのは室町時代の『 御 伽 草 子 』ですね。


■□─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─□■

日 本 書 紀丹 後 に住む水江浦島子(みずのえうらしまのこ)が亀を釣ったとこ

ろ、その 亀が女性に化身し、浦島子は妻にして 共に蓬莱山に行ったとの記述が1行あります。

■□─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─□■

万 葉 集 】高橋虫麻呂作の長歌「詠水江浦嶋子一首」として収められています。

釣りを生業とする水江浦嶋子が海で海神の娘だという亀姫と名乗る女性に出会い

語り合っている内に結婚しようとなった。常世の国にある彼女の住む宮殿へ・・

仲良く3年過ごした後に、両親に結婚の事を知らせるために家に帰りたいと伝え

ると絶対に開けてはいけないと言われ「 櫛 笥 ─化粧箱」を渡されます。

しかし、故郷に戻っても家もなく見知らぬ人ばかり、困り果ててふたを開けると

元に戻るのではないかと考え、櫛笥のふたを開けると中から白煙が立ち昇り、

黒かった頭髪が 真っ白になり息絶えた。
■□─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━□■

丹 後 国 風 土 記 】風土記というのは8世紀初頭頃に、朝廷より全国に編纂の命が

下されたもので、その地方に伝わる伝説や特産物を紹介する書物のことです。

但し、現物は残ってはいないのですが、『 釋 日 本 記 』 に「丹後国風土記によるとー」

と引用されている形で伝えられています。

こちらでは、ラストの部分で櫛笥を開けると風雲が舞い飛び、悲嘆した嶋子が歌

を詠むと櫛笥に亀姫からの返歌が帰って来たというくだりがあります。
■□─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━□■

その後、平安時代に『 浦 島 子 伝 』『 続 浦 島 子 伝 』と続きます。

御 伽 草 子 】内容的にはほぼ同じなのですが、ラストで玉手箱を開けた浦島は鶴

の姿になり空に飛んで行ってしまった・・・とあります。
■□─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━■


めぼしい所では これ位なのですが、さまざまなバージョンがある中で 共通しているのは

竜宮城で過ごした何日間(1年間)が、この世では何百年にも相当する という事。

時 間 の 流 れ 方 の 違 い を古代の人々は理解した上で物語化したのでしょうか?

アインシュタインの 相 対 性 理 論 を地で行くような物語・・・・・



また、この物語を読んで誰もが不思議に思うことは ラストのバッドエンドです。

何も悪い事をしていないのに、どのバージョンでも ひどい目に会うのはなぜ?


この件については・・・うかうかと人語を話す魔の存在である亀に誘われ

この世に非ず所に行ってしまったから・・・という説もあるのですが・・・

つまり、 生身の人間には 関わってはいけないものがある、という教えなのでしょうか?


浦島伝説は、似たような形のものは世界にもあります。

そして、大抵はバ ッ ド エ ン ド・・・


異類婚のパターンで、人間とそうでないものとの結婚 は殆どが 添い遂げることなく

悲劇的な別れに終っていますしね。



もう1つ、最大の謎は 乙姫様は 何を考えて浦島に玉手箱を渡したのでしょうか?

また、あの玉手箱の中には何が入っていたのか?という疑問が・・・


「決して開けてはいけない」と言って渡してしまっては・・・開けたくなるのが

人情というものです。 開ける事を見越して渡したのでしょうか?

開けたら浦島がどうなるか分かっていたはず・・・

乙姫様の真意は・・・分からないし、正解はないのでは? 解釈する人の数だけあるのかもしれません。

ただ・・・バッドエンドという前提があってこその、あの行為だったのかも?


玉手箱に入っていたものは・・・時 間 そ の も の 、かな? 竜宮城と人間世界とのギャップ

の時間かしら?とも考えています。



また、「決して××してはいけない」という タ ブ ー の 物 語 は、浦島だけではなく

日本神話にもギリシア神話にも、世界の伝説や物語にも多数見られるパターンです。

けれども、守 れ な く て 失 敗 してしまう、というのがお約束になっていますが。


以上、話し出すと切が無いのが 浦島太郎の物語・・・

たかが子どものおとぎ話と思っていたら、とんでもなく奥の深い話になりそう。

改めて、感じ入ったところで今日はおしまい・・・またね。





マクロミルへ登録
posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 日本の漫画・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月18日

『 言 霊 』( by 山岸凉子 ) を 「ことばの日」 に 読む


こんにちは、いつも来て下さってありがとう。


5月18日は「 ことばの日 」5月(こ)18日(とば)の語呂合せから生まれた 記念日です。

ことば・言葉・・・非常に範囲が広いですが、丁度読み終えた作品にズバリのタイトルが

ありました。 ただし、小説作品ではなく 漫 画 なんですが、クォリティは

読み捨ての三文小説よりも高いはず・・・




    言霊

    著者: 山岸凉子

    出版社:講談社

    サイズ:コミック  


著者は3月3日にもお話した 山岸凉子氏です。『アラベスク』で バレエ漫画の新境地を

開いた山岸氏。連載に 10年間かけた 『 テレプシコーラ 』 は雑誌「ダ・ヴィンチ」の

連載中から楽しみに読んでいました。 そんな氏の バ レ エ も の 最新作!


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

心と言葉。 あまりに密接な関係。

バレリーナを目指す16歳の澄(さやか)は、ライバルたちの言葉に、

動揺する日々を送っている。

本番に弱いというメンタルを克服しなくては、夢をつかめない。

そう思った澄(すみか)は、ここから抜け出す方法を考え始める───

★━━━━━━━━━━━━━【裏表紙より】━━━━━━━━━━━━━━━★


お嬢さんがバレエを習っている知人が何人かいます。

殆どが子ども時代から習い始めて、高校受験をきっかけにして止める子が多いと聞きました

後は やめないにしても、部活感覚で軽いレッスンを続ける位かな?


それ以上を目指して頑張り続けるのは、ほんの一握りしかいないそうです。

また、これ位の年齢になると、本人の才能の有る無しもハッキリしてくるそうです。

技術的には1つの臨界点に達するとか・・・


才 能 の 限 界 」といってしまうのも残酷なようですが、

さらに技術を磨く為には自宅にバーのあるレッスン室も必要になるし、

週に2回のレッスン程度では追いつかないのが 現状との事でした。

「それに続けるのは 半端でなくお金がかかるからね」とも・・・



この物語の主人公・ (さやか)は 16歳の高校一年生。

プロを目指して頑張っています。この年齢で はっきりとプロを目指す意識があるのは、

技術が一定レベル以上あるって事ですよね。

だから、レッスンでは結構高度なことも出来てしまう。


けれども、通っているバレエスクールの発表会で 彼女に振り当てられた役は 3番手・・・

主役に選ばれたのは 先生の姪である梓。 彼女は1年前のコンクールで 5位入賞を果たして

いるので当然かもしれませんが、澄は内心では不満に思います。


技 術 的 に は 誰 に も 負 け な い はずなのに、コンクールの演技では

最後の最後に失敗をしてしまいました。

得意なはずの回転技で、レッスン場では失敗した事もないのに!



梓からは「 レッスン場では無敵だもんね 」などと揶揄されて、事実であるだけに

益々落ちこんでしまう澄・・・


本 番 に 弱 い のが澄の最大の弱点で、バレエは一瞬の舞台芸術だけに 本番が全て

なのです。 そこに至るまでのコンクールにしても本番が全て!

そんな澄が、自分の演技を成功させるための ジ ン ク ス としているのは

他 者 の 失 敗 を 願 う こ と



・・・しかし、他者が成功してしまうと 逆に益々自信を失ってしまうというジレンマがあります。

そして、そんな自分に罪悪感さえ感じてしまうのです。


そんな澄に転機が訪れたのは、ローザンヌで入賞してドイツのバレエ学校に留学

が決まった 聖 也 く ん と知り合ったこと。


彼は、澄の技術の確かさを高く評価し、バレエ学校入学後もオンラインを通じて

身体とメンタルの関係についてアドバイスもしてくれます。

コンクールの演技などで、「これで最後!」と思うと失敗しがちなのは


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

これで「最後」と思うと、そのとたん大脳がすべての運動機能を停止させるらしいよ

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


そう、脳はすべての言葉に影響を受けるんですよ・・・

バレエに限らず、どのような運動競技にも当てはまるようですね。そういえば

身に覚えもあるような? 安心するからダメなのか、と思っていたのですが・・・

これをきっかけとして、澄は心と身体能力の関係に思いを馳せるようになります。



さらに、新たなるコンクール挑戦を機会として、澄の意識を変えたものがありました。


これまで他者を「失敗しろ!」と望んでいた自分がいたけれど、その「言葉」は

他者に向けて(心の中で)言っても、聞 い て い る の は 自 分 なのだから!!

それでは、本当に 実力を発揮させる為には どうすれば良いのか?



・・・・・コンクールが始まりました。


ちなみに 澄ちゃんが踊ったのはコレ↓ですね。演目は「ドルシネア姫」

踊っているのはスヴェトラーナ・ザハーロワ、ロシアの有名なバレリーナです。

ドルシネア姫.jpg

(画像引用:http://www.youtube.com/watch?v=XoD1kGIxHVY



これまで山岸氏はバレエのみならず「 言 葉 」の意味するものをよくテーマに取り上げてこられました。

今回の『言霊』は、そんな言葉に縛られてきた 少女の葛藤と、成長の物語です。


長編ではなく一冊の半分くらいの中篇ですから、やや軽い感じも否めませんが

それでも読後感もよくて質の高い内容であったと思います。


残りは お得意の怪談エッセイですが、タイトルが『 快 談 ・ 怪 談 』でして

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

でもね 怪奇物から10年遠ざかっておりましたら

今のわたしはこの世界では浦島太郎状態

もはや世の中 不思議の話は 珍しくもなんともないのでした

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★

こう御本人が仰っておられますが、これは怪奇物ではなく山岸氏の生活エッセイ

に近いものと思って読めばいいでしょうね。

それでもやはり、この方の周囲には 結構不思議現象が多いような www


さて、それでは今日はこの辺で・・・またね。




マクロミルへ登録


posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 日本の漫画・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月06日

「 国際ノーダイエットデー」に 読む 『 脂 肪 と い う 名 の 服 を 着 て 』 by 安野 モヨ子


こんにちは、今日も来て下さってありがとう。


5月6日は「 国際ノーダイエットデー 」。 ダイエットではなく「 ノ ー ダ イ エ ッ ト 」。

イギリスのフェミニストのメリー・エヴァンス・ヤングが 提唱して制定されました。


世間のダイエットへのプレッシャーに対抗し、ダイエットによる 健康影響を訴える日・・・


女性なら 誰しもほっそりと 華奢な身体になりたいと思うもの・・・なのか?

適正体重を通り越して 痩せすぎて危険領域に入り込んでしまうと、もう自分でも

制御できなくなってしまうらしいけれど・・・下の写真を見てよ・・・↓


拒食症.jpg

画像引用元:ttp://yasai0142.livedoor.biz/archives/51259480.html

これは有名なトリック写真で ネットによく出回っているから、あなたも御覧になった

ことがあるかもしれませんね。



鏡に映っているのは、ぽっちゃりと太った女性の姿。

・・・・・そして鏡の前に立っているのは、こ の 女 性 の 真 実 の 姿




人体骨格の標本に 皮フを1枚貼り付けたほど 痩せているのに、彼女の目に映る自分の

姿は 相変わらず太ったまま・・・ああ、もっともっと痩せなきゃ!



周囲の人が いくら「 あなたは 太ってはいないよ 」と忠告したところで 彼女は

聞く耳を 持たない。

彼女の目には、間違いなく自分がデブに見えるのだから。そして彼女の脳は

「お前はデブだ、痩せろ!痩せろ!」と命令するのだから・・・。



・・・・・これは 現 代 の 怪 談 です。 過剰なダイエットの引き起こす悲劇。



けれども、もっと屈折した形で やりきれない形で表現された作品がありました。

自分の意思で痩せたいのか 他者の意思で痩せるのか・・・・これも怖い作品です。


はい  今日の 読書は 『 脂肪という名の服を着て 』  by 安野 モヨ子



『脂肪という名の服を着て』 完全版

著者:安野 モヨ子

出版社:文藝春秋社

サイズ:文庫266ページ


著者の 安野 モヨ子氏は 結構有名で 実力のある漫画家さんだそうですが、実は私は

あまりよく知りません。姪が持っている『 美 人 画 報 』というエッセイ漫画を読んだり

朝日新聞の 日曜版に連載している人、という程度の認識です。



この作品も姪から借りて読んだものですが、救いようの無い読後感でしたね。

漫画ですから、まず絵が多くを物語ります。一種の印象操作というか、人物が皆

誇張されてはいるのですが・・・。



主人公の「 花沢のこ 」は20代前半くらいのOL。朝食のパスタを茹でるとき、

「食べて足りなかったらイヤだな」といって余分に茹でては・・・・・

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

食べてれば大丈夫  食べられれば  何とかなる

たとえイヤなことが 沢山あっても

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━★

物語冒頭からこういうセリフがあるので、ストレスを食欲で発散させているタイプだな

と見当がつきますね・・・ぽっちゃりタイプで、上の画像の鏡に映っている女性

と同じくらい、かな? お洋服のサイズでは13〜15号位かしら?



この程度では 別に太りすぎじゃないと思うのは、私がオバサンだから?

もしも痩せたかったら、甘いものを控えて軽い運動をすれば何とかなりそう・・

と思う程度の太り方だと思うのですが・・・



そして 全巻を通して この「 大丈夫 食べてれば 大丈夫  頭の中で声がす

る  食え!  食って食いまくれ!
」 というセリフがあるのが怖い・・・



彼女は 控え目過ぎるほど控えめで 目立たないキャラであり、仕事も(多分)出来るほう

ではなさそう・・・同僚達からイヤミっぽい事を言われても何も言い返しません。

無表情にムスッとしているだけ。



そして・・・・・ 笑 わ な い 。 ニコリともしない。



こういうタイプの人は、苛められやすい 傾向があるかなあ・・・何も言い返さないと

周囲からは さらに居丈高に嫌悪感をぶつけられるような・・・こいつには

何を言っても大丈夫!と思われちゃうのかなあ。

それとも・・・相手のサディスティックな気持ちを引き出してしまうのでしょうか?



職場の同じ課の同僚OL・マユミは ほっそりとスタイルの良い美人ではありますが

「のこ」を苛める筆頭者でもあります。性格も含めてデブの「のこ」が大嫌い。

ついには、他の同僚のミスをも「のこ」のせいにして社内での立場をさらに悪くしてしまいます。



そんな「のこ」にも恋人はいます。8年越しに交際している商社マンの斉藤くん。

彼は「のこ」の事を太っていても「そのままでいいよ」と言ってくれます。



この斉藤君も、実は 家庭と心に 問題を抱えているタイプではありますが・・・



夫を 他の女性に奪われて自殺未遂を繰り返し、まるで夫への復讐のように息子を

ガミガミと攻撃する母親( 痩せています )への嫌悪感。


その反動のように 太めの女性を求めているような・・・


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

女なんて何もかも ゆるくて間抜けなほうが いいに決まってるんだ

やすらぎなんだから  あいつらに求めるのは やすらぎだけなんだから

(中略)

そうして俺はいつだって 完璧にやさしい笑顔だ

「 外見じゃなくて 心で 彼女を選んだ男 」

やすらぐよな・・・・・

そんな自分に  本当にやすらぐ

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━━★


確かに、ピリピリした女性よりも 安らぎを与えてくれる女性を好む 男性は多いのだろうけど

この斉藤君は「のこ」に安らぎを見出しているのではなく、本当は 最後の1行のように

そ ん な 自 分 に 本 当 に や す ら ぐ 」って・・「のこ」は自己確認の為のツールかい?

しかも、8年も交際しているのに 自分の同僚に「のこ」を紹介した事は一度も無い。



そして事件が起ります。斉藤君の浮気。相手は同僚のマユミですが、マユミも

別に 斉藤君が好きではなく、「のこ」への嫌がらせの為の手段でしかありません。



「のこ」は気がついても マユミや斉藤君にも何も言わない。言えない。

食べてストレスを解消するしかありません。そして、あの声が・・・・・



「 頭 の 中 で 声 が す る  食 え ! 」


これは、もしかして過食症? 美味しいものが好きで 食べ過ぎてしまうというの

ではなく、「のこ」の場合は 手づかみにして、味わう事もなくガツガツと食べ物を

口に押し込んで行くだけのような・・・

お腹はいっぱいになっても 満 足 感 も 幸 福 感 も な い ・・・



そんな「のこ」は痩せようと 一大決心をしてエステに通い始めます。



しかし、これが悲劇の始まりでした。



思うように体重が落ちないのに焦った「のこ」は、食べた直後に 嘔吐を繰り返すようになります

そうして 20キロほども痩せて 好きな服を着て 美容院で髪型を変えて・・・


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

もう何も食べなくてもいい

このままで いられるなら 何も食べたくない

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━★

すっかり面差しの変わった(やつれた)「のこ」は久しぶりに斉藤君と道で偶然

出くわしたのですが、彼は別人のように変わった「のこ」 に恐怖感を覚えて 逃げ

出してしまいます。




そうして会社では さらに「のこ」を陥れようとするマユミに「なぜそこまでするのか?」

と問い詰めたとき返ってきた答えは・・・

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

あたしはね  醜いものが大ッキライなのよ

やせたからって 何も変わらないのよ  のこ!!

あんたは醜いの!!  心のそこからね!!!

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


「のこ」はずっと や せ ら れ れ ば 全 て が 変 わ る し 何 も か も 上 手 く い く は ず

楽 し い 日 々 が 待 っ て い る は ず・・・と思ってきたのに 結局は 何も変わりません。


30キロ痩せたとき、かっての恋人の 斉藤君が結婚するという噂を耳にします。

斉藤君の結婚相手は かっての自分のように 地味で 太目の女性・・・・・



路上で倒れた「のこ」は入院するはめになります。そうして昔の自分に戻ろうと

します。 今 よ り は き っ と い い は ず と信じて・・・



そうして半年後・・・


職場を変えた「のこ」は 偶然に 以前通っていたエステのオーナーに出会いました。

その時には、もう「のこ」の体型は すっかり昔と同じように・・・



痩せていたときは、あまり良い事も無かった、自分が痩せたことでバランスを崩す人

もいたし見ているのが辛くなって、と言う「のこ」に対して

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

あなたの身体なのよ    あきれるわね!!

(中略)

もう誰のせいでもない もとから誰のせいでもない

太ったのは  そうやって ひとのせいにしている あなた自身のせいなのよ

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


そうして、立ち去って行き、連れの友人に対してこう言います。

ま た 繰 り 返 す だ ろ う 、身 体 で は な い  心 が デ ブ な ん だ も の



一人暮らしのアパートの部屋で 相変わらず 大量の食物をむさぼるように

食べ続けている「のこ」 ・・・・・




「やせたらキレイになれる!」というダイエットの結果を これでもか!これでもか!と

絶望的なまでに描いた作品でした。



古典的な少女漫画の黄金パターンならば、少々太めであっても素敵な王子様が

現れて、今のままのキミが一番!と言ってくれてハッピーエンドなのですが・・・



そうして 救いようのない後味の悪さが残る作品でした。単純に 過剰なダイエットを戒めた

作品でもない。無理をしないで生きていこうと吹っ切れた明るさも無い。



作者が 徹底的に「のこ」を思いっきり突き放して描いているのを強烈に感じました

外見だけではなく、キャラクタにも 全く魅力の無い女性として描かれています



作者自身が「のこ」を愛していないから? 漫画ですから 絵がものを言うのですが

ガツガツと貪るように汚らしく何かを食べ続けている「のこ」を見ると思い出すのは 

↓ この絵です。「 餓 鬼 草 紙 」

餓鬼草紙文化遺産オンライン.jpg
 

画像引用元:文化遺産オンライン
http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=13814&imageNum=5#



だから、主人公に 魅力が感じられない・・・むしろ嫌悪感さえ感じてしまいそうで・・・

そんな風に思うのは 私が意地悪だからでしょうか?



この作品について、「 見 た 目 を 過 剰 に 重 視 す る 社 会 は 怖 い 」と論じた書評を

読んだことがあります。昨今の 美容整形の流行もその現れかもしれませんが・・・



心がデブだから・・・身体がデブなのではない 「 心 の デ ブ 」 だから・・・・・

「のこ」が そのことに気がつく日は来るのでしょうか。

あ な た の 身 体 な の よ 」という 言葉の重みを理解する日が・・・


そうすれば 彼女も 少しは 自分で自分のことを愛せるかもしれないのにね。



さてと、今日はこれでおしまいです。またね。


posted by cat-of-many-tales at 00:00| Comment(0) | 日本の漫画・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。