2013年05月18日

『 言 霊 』( by 山岸凉子 ) を 「ことばの日」 に 読む


こんにちは、いつも来て下さってありがとう。


5月18日は「 ことばの日 」5月(こ)18日(とば)の語呂合せから生まれた 記念日です。

ことば・言葉・・・非常に範囲が広いですが、丁度読み終えた作品にズバリのタイトルが

ありました。 ただし、小説作品ではなく 漫 画 なんですが、クォリティは

読み捨ての三文小説よりも高いはず・・・




    言霊

    著者: 山岸凉子

    出版社:講談社

    サイズ:コミック  


著者は3月3日にもお話した 山岸凉子氏です。『アラベスク』で バレエ漫画の新境地を

開いた山岸氏。連載に 10年間かけた 『 テレプシコーラ 』 は雑誌「ダ・ヴィンチ」の

連載中から楽しみに読んでいました。 そんな氏の バ レ エ も の 最新作!


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

心と言葉。 あまりに密接な関係。

バレリーナを目指す16歳の澄(さやか)は、ライバルたちの言葉に、

動揺する日々を送っている。

本番に弱いというメンタルを克服しなくては、夢をつかめない。

そう思った澄(すみか)は、ここから抜け出す方法を考え始める───

★━━━━━━━━━━━━━【裏表紙より】━━━━━━━━━━━━━━━★


お嬢さんがバレエを習っている知人が何人かいます。

殆どが子ども時代から習い始めて、高校受験をきっかけにして止める子が多いと聞きました

後は やめないにしても、部活感覚で軽いレッスンを続ける位かな?


それ以上を目指して頑張り続けるのは、ほんの一握りしかいないそうです。

また、これ位の年齢になると、本人の才能の有る無しもハッキリしてくるそうです。

技術的には1つの臨界点に達するとか・・・


才 能 の 限 界 」といってしまうのも残酷なようですが、

さらに技術を磨く為には自宅にバーのあるレッスン室も必要になるし、

週に2回のレッスン程度では追いつかないのが 現状との事でした。

「それに続けるのは 半端でなくお金がかかるからね」とも・・・



この物語の主人公・ (さやか)は 16歳の高校一年生。

プロを目指して頑張っています。この年齢で はっきりとプロを目指す意識があるのは、

技術が一定レベル以上あるって事ですよね。

だから、レッスンでは結構高度なことも出来てしまう。


けれども、通っているバレエスクールの発表会で 彼女に振り当てられた役は 3番手・・・

主役に選ばれたのは 先生の姪である梓。 彼女は1年前のコンクールで 5位入賞を果たして

いるので当然かもしれませんが、澄は内心では不満に思います。


技 術 的 に は 誰 に も 負 け な い はずなのに、コンクールの演技では

最後の最後に失敗をしてしまいました。

得意なはずの回転技で、レッスン場では失敗した事もないのに!



梓からは「 レッスン場では無敵だもんね 」などと揶揄されて、事実であるだけに

益々落ちこんでしまう澄・・・


本 番 に 弱 い のが澄の最大の弱点で、バレエは一瞬の舞台芸術だけに 本番が全て

なのです。 そこに至るまでのコンクールにしても本番が全て!

そんな澄が、自分の演技を成功させるための ジ ン ク ス としているのは

他 者 の 失 敗 を 願 う こ と



・・・しかし、他者が成功してしまうと 逆に益々自信を失ってしまうというジレンマがあります。

そして、そんな自分に罪悪感さえ感じてしまうのです。


そんな澄に転機が訪れたのは、ローザンヌで入賞してドイツのバレエ学校に留学

が決まった 聖 也 く ん と知り合ったこと。


彼は、澄の技術の確かさを高く評価し、バレエ学校入学後もオンラインを通じて

身体とメンタルの関係についてアドバイスもしてくれます。

コンクールの演技などで、「これで最後!」と思うと失敗しがちなのは


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これで「最後」と思うと、そのとたん大脳がすべての運動機能を停止させるらしいよ

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


そう、脳はすべての言葉に影響を受けるんですよ・・・

バレエに限らず、どのような運動競技にも当てはまるようですね。そういえば

身に覚えもあるような? 安心するからダメなのか、と思っていたのですが・・・

これをきっかけとして、澄は心と身体能力の関係に思いを馳せるようになります。



さらに、新たなるコンクール挑戦を機会として、澄の意識を変えたものがありました。


これまで他者を「失敗しろ!」と望んでいた自分がいたけれど、その「言葉」は

他者に向けて(心の中で)言っても、聞 い て い る の は 自 分 なのだから!!

それでは、本当に 実力を発揮させる為には どうすれば良いのか?



・・・・・コンクールが始まりました。


ちなみに 澄ちゃんが踊ったのはコレ↓ですね。演目は「ドルシネア姫」

踊っているのはスヴェトラーナ・ザハーロワ、ロシアの有名なバレリーナです。

ドルシネア姫.jpg

(画像引用:http://www.youtube.com/watch?v=XoD1kGIxHVY



これまで山岸氏はバレエのみならず「 言 葉 」の意味するものをよくテーマに取り上げてこられました。

今回の『言霊』は、そんな言葉に縛られてきた 少女の葛藤と、成長の物語です。


長編ではなく一冊の半分くらいの中篇ですから、やや軽い感じも否めませんが

それでも読後感もよくて質の高い内容であったと思います。


残りは お得意の怪談エッセイですが、タイトルが『 快 談 ・ 怪 談 』でして

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でもね 怪奇物から10年遠ざかっておりましたら

今のわたしはこの世界では浦島太郎状態

もはや世の中 不思議の話は 珍しくもなんともないのでした

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★

こう御本人が仰っておられますが、これは怪奇物ではなく山岸氏の生活エッセイ

に近いものと思って読めばいいでしょうね。

それでもやはり、この方の周囲には 結構不思議現象が多いような www


さて、それでは今日はこの辺で・・・またね。




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2013年05月17日

『 荊 の 城 』( by サラ・ウォーターズ ) を 「 国際ホモフォビアの日 」に読む


こんにちは、今日も来て下さってありがとう。


5月17日はですね、「IDAHO」とも略されていますが、 同 性 愛 に対する嫌悪を

無くしましょうという運動の記念日です。 WHO世界保健機構で、国際障害疾病分類から

同性愛を 削除することが決議された日、1990年5月17日を記念して定められました。


えっ、それまでは“ 疾病 ”扱いだったのか、と驚かれるかもしれませんが・・・


私自身はノーマルですが、人を愛する気持ちの1つのパターン?として捉えています。

積極的に推進する気持ちは無いけれど、迫害する気持ちもありません。


で、今日の読書ですが、三島由紀夫にしようかとも思ったのですが、敢えて この

作品を・・・だって面白いんだもの!


はい 今日の 読書は 『 荊 の 城 』 by サラ・ウォーターズ


    荊の城  上・下  ( ← こちらは上巻 )

    著者:サラ・ウォーターズ / 中村有希 訳

    出版社:東京創元社

    サイズ:文庫  (上)434ページ (下)420ページ


著者は英国の作家 サ ラ ・ ウ ォー タ ー ズ (1966〜)。 2作目の長編 『 半 身 』が日本で

も大変に話題になり、「このミステリーがすごい!」海外編ベストでトップを始めとして、

各ミステリベストの 海外部門で高く評価されたのは まだ記憶に新しいのではないかしら?


非常に力量のある方で、以降は本作をはじめ 『 夜 愁 』 『 エアーズ家の没落 』など、皆傑作と

いえるものばかり。多作ではないけれど 確実に読者を楽しませる力量を持った作家です。



私自身も『半身』以来のファンです。『半身』については、これがミステリか?という声

も多々あったようですが・・・ヴィクトリア朝を舞台とした ゴシック調の雰囲気に

幻惑されてしまうからね。 しかし、その骨格は本格ミステリと呼べるものでしたね。

美しい謎がラストで論理的に解けて行くのですから



『 荊の城 』も、名探偵の登場しない美しいミステリとも読めるかもしれません。

但し、『半身』よりもはるかにドラマティックで 物 語 の 起 伏 が 豊 か であり、上下2巻

けっこうなページ数にも拘らず 退屈せずに一気読みできた作品でした。



ディケンズの作品群に共通した面白さがあり、著者自身もディケンズを意識したのでは?と

思われる部分が幾つかありました。また、当時の生活の 日常描写や食事・衣裳・社会風俗

精神病院の実態(!)など 綿密な時代考証で 丁寧に描かれているので、

読者は とてもリアルに物語の中に入っていけます。



さて、物語には 二 人 の ヒ ロ イ ン が登場します。全く異なったキャラクタであり

生まれも育ちも正反対の・・・


片方はスーザン( ス ウ )・トリンダー17歳、 ロンドン下町のラント街で生まれ育った少女。

実の母は 絞首刑で亡くなったと教えられ、育ての親のサクスビー夫人や、故買屋で

錠前作りのイッブス親方たちと一緒に暮らしています。

読み書きは出来ませんが、特技は スリと 錠前を開ける事 ww



サクスビー夫人は託児所や養子の斡旋を生業にしています。

かっては スウも預けられた赤ん坊の一人でした。

夫人は、スウの実の母親が刑死した後も「お前は私の宝物」と言って、他の子ども達とは

別格扱いでスウを大切に育ててくれました。スウも「母ちゃん」と呼んで慕っています。




もう片方は、モード・リリー。スウと同い年です。 莫大な遺産の女相続人であり、

辺鄙な地のブレア( 荊 )城で 伯 父 と暮らしています。 母親は若い頃に身を持ち崩し

心療院で亡くなりました。モード自身も幼少時代は心療院で暮らし、後に伯父に引き取られました。

現在は、蔵書家であり 本のディレッタントのような伯父の 秘書的な役割を果たしています。

城館から遠くへは出た事もなく孤独に過ごしています。




この二人が主人公なんですが、彼女達が出会ってしまったとき、運命の歯車が

ゆっくりと、そして終盤に向けては めまぐるしく廻り始めます。




それでは、もう一人 重要人物に登場してもらいましょうか。


リチャード・リヴァーズ。 彼は< 紳 士 >ジェントルマンと呼ばれています。

零落した貴族の息子と思われる、優れた容姿にエチケットもマナーもわきまえて

絵画の腕はプロ並で、おまけにフランス語にも長けています。

で、本職はというと・・・ギャンブラー& 詐 欺 師 ww




ある夜、突然に訪れた彼はスウに儲け話を持ちかけます。

目を付けている深窓の令嬢をたぶらかして結婚するつもりなので、

その手助けをして欲しいと。 要するに 結婚詐欺やらかす気?


彼女は莫大な遺産の相続人ではあるが、“ 結婚しないと相続できない ”という条件

が付いている・・・未成年だし、手っ取り早く結婚に持ち込むには、駆け落ちす

るしかないので、スウに侍女として傍にいてもらい 彼女の気持ちを自分に向ける

ように便宜を図って欲しい
・・・分け前もちゃんとやるから。


莫大な財産を独り占めする為に、正式に結婚してから 令 嬢 を 精 神 病 院 に 入 れ て

一 生 閉 じ 込 め て お く 手はずは整っているとのこと・・・



迷った末に、スウは母ちゃんとも相談して、この“ 仕 事 ”を引き受けることに・・・



<紳士>から、貴婦人に仕える侍女の特訓を受け、生まれて初めて一人前の大仕事を

する為にロンドンを離れてブレア城に向かうスウ。



人里離れた辺鄙な場所に建つ 城館に住むのは気難しい老人と多くの使用人たち、

そして 孤独な令嬢モード、少女らしい楽しみも無く、たまの訪問者は伯父の友人たちだけ。

モードは彼らの前で蔵書を朗読するのが慣わしでした。

しかし、この蔵書というのがトンデモない代物でして・・・ww



同い年の二人が、侍女と雇用者の立場は違えども 親しくなるのに時間はかかりませんでした。

しかし、親しくなればなるほど、スウの心は揺れ始めます。

想像していたよりも 遥かに知的で美しく優しいモードを、騙して精神病院に閉じ込めてしまって

良いものだろうか、と。



やがて<紳士>が訪れて、“作戦”が開始されます。二人の様子に密かに心を痛めるスウ。

もうその時には、単なる 友 情 以 上 の 気 持 ち をモードに対して抱き始めてもいたから・・・



さあ、この1万ポンド以上の遺産を賭けた大仕事は上手くいくのか? それとも?



結局、駆け落ちは成功し スウも同行します。<紳士>とモードは 小さな教会で結婚式を

挙げたのですが・・・



実は、 こ の 物 語 の 本 当 の 面 白 さ は こ こ か ら 始 ま り ま す



全体で 三部構成になっていますが、第一部は ス ウ の 視 点 で、第二部は モ ー ド の 視 点 で、

そして 第三部は 二 人 の 視 点 で・・・謎解きの部分になります。


視点が変わると 物語の様相が 全く逆のものになることに驚愕、しかし、それだけではなく

実は、この作品は・・・ヴィクトリア朝を舞台とした一種の 「 取 替 え ば や 物 語 」・・・



それも、二重三重に ツ ィ ス ト の 効 い た ドラマティックストーリー。



えっ?なんで?  嘘でしょ!   おー、そう来たか! ・・・と読みながらも

前に戻って 読み直して、改めて納得したりする事も・・・



この作品は英国BBC放送によってドラマ化もされています。DVD2枚組みで

販売もされていますので 早速購入しましたとも!

原題です.jpg

(画像引用元:BBC公式HPより)

細部で省略・構成しなおした部分もありますが、ほぼ原作に忠実に描かれ、読者的にも

充分に満足できるものでした。


女優さんの演技も上手く、( 日本ならばアイドル系の 可愛いだけのタレントを起用するかも?)

サクスビー夫人は イ メ ル ダ ・ ス タ ウ ン ト ン が演じています。


構成が 小説よりも分かりやすく 出来ていて、ストーリィを知っているはずの

私でさえ 1枚目のディスクの終わりには・・・次はどうなる?と急いで

2枚目のディスクを入れ直したほどでした ww


原作も映像も、 ヴィクトリア朝の 雰囲気 にどっぷりとつかれる事は間違いなしの

成功作と言えるでしょう。


さてさて、今日はこの辺で・・・またね。


( あーっ、DVDはプレミアムが付いてしまっている!・・・レンタルで置いてあるショップが

 あればいいのだけれど! 重版しないのかなあ・・)



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2013年05月16日

『 尼僧ヨアンナ 』( by ヤロスワフ・イバシュキェビチ )を 「 性交禁忌の日 」に読む


こんにちは、また来て下さってありがとう。


5月16日は・・・えっと、タイトル通りの日です w 江戸時代の艶本『艶話枕筥』に、

5月16日は 性交禁忌の日で 禁忌を破ると3年以内に死ぬと 書かれていた

為なんですが。 (但し、旧暦)


さて、そんな日にふさわしい本となると・・・コレかなあ?


はい 今日の 読書は 『 尼僧ヨアンナ 』 by ヤロスワフ・イバシュキェビチ


    尼僧ヨアンナ

    著者:ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ

    出版社:岩波書店

    サイズ:文庫 274ページ


著者はヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ(1894〜1980)ウクライナ生まれの

ポーランド人作家&詩人です。 代表作として挙げられるのが、映画化もされた

『 尼僧ヨアンナ 』や『 白樺の林 』など。


私の場合、この作家の作品で読んでいるのは『 尼僧〜 』のみ。きっかけは、 映 画 からでした。

中学生時代に 兄の友人(大学生)に誘われて観たのですが、彼の解説と 私の受けた印象

が全く違っていたのをよく覚えています。


ハ リ ウ ッ ド 的 な 陽 気 さ は 皆 無 でしたが、アートシアター系と言うほど難解ではなく

私がこの映画から受けた印象は・・・まるで、カルメンとドン・ホセのような 恋愛物語・・・でした。


自分を犠牲にして誰かを救うという、非常に崇高な行為が、恋愛がタブーである

神 父 と 尼 僧 との間であるだけに、恋そのものと感じられたのです。

命を賭けた神父と尼僧の・・・・・。


当時は意識しませんでしたが、ファム・ファタール( 運命の女 )に出会ってしまい

身を滅ぼす男の物語だと今では思っています。



・・・舞台はポーランドのルーディンという小さな村です。

村には尼僧院があり、美しい院長の ヨ ア ン ナ は村人達の信頼を集めていました。


ところが、ヨアンナは悪魔に取り憑かれ奇妙なダンスを踊るようになり 他の尼僧達も

同じように狂ったように悪魔のダンスを踊り始めたという・・・

特にヨアンナには幾つもの悪魔が取り付き、どんな悪魔祓いも効果がないとか・・・

尼僧ヨアンナ。jpg.png

( 画像引用: DVD 『尼僧ヨアンナ』 中央がヨアンナ この女優さんは監督の奥様です )


その調査と悪魔祓いの為に ス ー リ ン 神 父 が派遣されて来ます。


しかし、実際に修道院を訪問して出会ったヨアンナは、背中に瘤があるけれども

淑やかな美貌の尼僧でした。

ところが、いったん悪魔が乗り移ると野獣のように唸り、呪いの言葉を吐き散らすように。


最初は、教理に則り 公開で悪魔祓いの儀式を行うのですが効果は無し・・・

尼僧ヨアンナ4.jpg


( 画像引用: DVD 『尼僧ヨアンナ』 )


次には、ヨアンナとの一対一で苦行を続けることにしました。しかし、ヨアンナの話を

聞く内に心に迷いも生じて来ます。 彼女自身が悪魔を求めているのだと・・・・


スーリンは屋根裏部屋にこもり 我が身を鞭打ち続けます・・・しかし、二人が共に

激しい痛みを受けることで逆に親和感が増し始め、いつしか悦楽を伴うように・・・


スーリン神父は自信を失い、ユダヤ教の司祭に相談したりもするのですが、逆に

悩みが深くなる破目に陥ります。


もう、ヨアンナを救う為には 自分がその犠牲になるしかないと思うようになりますが・・・

そして・・・ヨアンナを抱きしめたスーリン神父は 自らの体内に悪魔が乗り移って来るのを

はっきりと認識します。それは非常苦しみを伴いますが、ヨアンナを救ったという

満足感がありました・・・悪魔はスーリン神父にささやきます。


もう一度ヨアンナの体に戻ると・・・何としてでも 阻止したいスーリン神父は

悪 魔 を 受 け 入 れ 身 を 捧 げ る ことを誓います。


・・・自らの内側に 悪魔を永遠に閉じ込める為に、そうして、従者の少年を二人殺害してしまうのです・・・



スーリン神父は処刑されましたが、ヨアンナは正気に戻り、その後も長く修道院で

院長を勤めたとか・・・

映画では、最後に鐘堂の鐘が鳴り響き、そしてラスト・・・



もう お気づきになったかもしれませんが、この作品は17世紀のフランスの小都市ルーダンの修道院で

実際に起きた 「 ル ー ダ ン の 悪 魔 憑 き 事 件 」(尼僧達の集団ヒステリー事件)を

モデルにしています。 この時には、聖ペテロ会の司祭、ウルバン・グランディエが火刑に処されました。



この作品が執筆されたのは1943年、ナチス占領下のワルシャワでした。

出版されたのが1946年・・・旧ソ連の支配下で。


世界的に有名になったのは カ ヴ ァ レ ロ ヴ ィ ッ チ 監 督 によって 映画化されてからです。

映画が 初めて日本で公開されたのが1962年、当時はスターリンの圧制に苦しむポーランド

の比喩
として高く評価されたようですね。


後に1974年の『 エクソシスト 』の元ネタになったとも言われ、現代でもカルト的な

人気を持つ映画でもあります。


しかし、元祖・悪魔祓い映画としてよりも、もっと 人 間 の 根 源 的 な も の を感じさせてくれる

作品に思えるのですが・・・ヒントとしては、原作・映画ともに登場した

マ ウ ー ゴ ー ジ ャ タ という尼僧にあります。


尼僧の身でありながら、しょっちゅう村の居酒屋に行って お酒を呑んだりダンスをしたり、

あろうことか 知り合いになった田舎貴族の男性とベッドインまで・・・!


結局は 捨てられて大泣きするのですが、彼 女 だ け に は 何 故 か 悪 魔 が 取 り 憑 か な い

のですよ・・・。


何故だかは、あなたも当然お分かりになるでしょう?

まあ、トンデモシスターではありますが、私は彼女がとても好きです ww


さてと・・・今日はこの辺で・・・またね。



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