2013年05月09日

『 高 慢 と 偏 見 』 を 「 告白の日 」に 読む   by  ジェーン・オースティン


こんにちは、今日も来て下さってありがとう。


5月9日は「告白の日」・・・「告白」と聞くと湊かなえ氏の『 告 白 』を真っ先に

思い浮かべてしまうかな?


しかし、今日の「告白の日」は 男性用化粧品ブランド “AXE” が、男性の恋愛を

応援する活動の一環として制定したものです。いわば「 愛 の 告 白 」の 日 ・・・?



お金持ちで 素敵な男性から 愛を告白され、いったんは断ったものの 人間性に優れて

誠実な彼は 自分の欠点も認めた上で 彼女を理解し 彼女の為に力を尽くし、

あきらめず再度 愛を告白・・・その頃には 二人の間の誤解も解けて 彼女も彼を

深く愛するようになっていて、障害にもめげずゴールイン! めでたし、めでたし!!



・・・・・まるで古典的な 少 女 漫 画 の よ う な お 話 かしら?



でも、この作品は 文豪・夏目漱石さえも絶賛した 世界文学史に残る大傑作 なのね。 

W・S・モームも『 世 界 の 十 大 小 説 』の中にこの作品を入れています。



はい 今日の読書は 『 高 慢 と 偏 見 』 by ジェーン・オースティン


    『 高慢と偏見 』 上・下 (←こちらは上巻)

    著者:ジェーン・オースティン

    訳者:中野康司

    出版社: 筑摩書房

    サイズ: 文庫 (上)360ページ (下)323ページ


『 自 負 と 偏 見 』とも訳されてます。( 原題:Pride and Prejudice )

版元は他に新潮社・岩波書店・光文社・河出書房新社など。



著者はジェーン・オースティン(1775〜1817)英国の、いや世界文学史上に残る女性作家。

イングランド南部の牧師の娘として生まれ、生涯に残した長編小説は6冊。


18世紀末から19世紀の 英国の田舎の中流社会を舞台に、女性主人公の結婚までの

生活を描いた作品群はどれも傑作と言えます。メインテーマは皆同じで、ヒロインが

愛する男性と出会い、紆余曲折を経て最後にめでたくゴールイン!
というハッピーエンド。

そう、オースティンの作品はみな 偉 大 な る 婚 活 小 説 なんですよ ww



・・・なんですが、そのパターンが全て違っているんですよね。

ヒロインのキャラクタも 家庭状況も異なっています。



恋愛小説というと、悲劇的なイメージも強いのですが オースティンの場合は・・・


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

私には 歴史ロマンスも叙事詩も賭けません。まじめな歴史ロマンスを書かないと

絞首刑にするぞ、とでも言われないかぎり、そういうものを書く気にはなれません。

そして、 自 分 や 他 人 を 笑 う よ う な こ と を書いてはいけないと言われたら、

最初の一章も書き終えない内に 絞首刑にされた方がましだと思うことでしょう

★━━━━━━━━━【上巻・訳者あと書きより抜粋 】━━━━━━━━━━━★


↑はい、こういったキャラの持ち主でしたから、悲壮感ただよう重苦しい作品ではなく

ユ ー モ ア と 皮 肉 に 満 ち た ( でも愛情深い )作品群が生まれたのでしょうね。



また、牧師の娘ではあるのですが、登場する牧師たちは 結構辛辣に描かれているのも

特徴かな? 『 エ マ 』では、脇役の牧師夫妻を“ 俗物 ”と切り捨てていますし ww


『高慢と偏見』に登場する牧師は 完全にピエロとしての役割をww

例外は 『 マンスフィールド・パーク 』 でしょうか、こちらはヒロインの結婚相手

だからかな?



その中でも、映像化効果もあり、一番よく知られ人気が高いのが『高慢と偏見』

最初に書かれたのは1796〜1797年の間で、その時のタイトルは『 第 一 印 象 』

現在の形で出版されたのは1813年のことです。




ベネット家は 英国南部の田舎・ロングボーンの小地主です。

家族は両親の他に娘が5人。美人で心優しい長女のジェイン・理知的で活発な

次女のエリザベス(リジー)・器量が悪く内向的な三女メアリ・怒りっぽくて

下の妹の言いなりの四女キティ・陽気でおませな問題児 ww 末娘のリディア・・・

五人姉妹! さぞかし賑やかでしょうね ww



しかし、この一家には 大きな悩みがひとつあります。それは “ 相 続 ”のこと・・・



「 限定相続 」という形で、ベネット氏亡き後は この家を相続できるのは男子のみ!

(この時代、女子は相続できないという法律はありませんが、条件が付けられて

いる場合も多かったようですね)



単にお金が相続できないだけではなく、住んでいる家も家具も馬車や馬も領地も

殆ど全てのものが“財産”とみなされ、継ぐ事ができません。

ベネット氏にもしもの事があったら、家から出て行かなければならないのです。



なので、ベネット夫人の目標は何とかして 娘達を(お金持ち&紳士に)嫁がせること!


この時代、中流以上の階級の女性の自活など有り得なかったので

(例外的には、住み込みの家庭教師くらい?)

とにかく結婚!結婚!! 未婚女性のミッションは( 条件の良い )夫を得ること!!



女性は結婚しないと食べていけない、という時代でしたからね。 生涯未婚であるならば、

兄か弟に養ってもらうしかない惨めな境遇になってしまいます。 職業を持って独立するすべもなく

使用人として働くのは 下層階級の人々だけですから・・・



娘ばかりのベネット家の母親が、娘の結婚に目の色を変えて打ち込むのも

無理はないのです・・・




物語はベネット家の御近所に、お金持ちの独身男性ビングリー氏が引っ越して

来た時からスタートします。


舞踏会に現れた彼は 陽気で好感の持てる男性で、美しい長姉のジェインに一目惚れ?

彼の姉妹たちは お高くて田舎の人々を馬鹿にしている様子が伺えるのですが・・・



さらに、最悪だったのは同伴してきたビングリー氏の親友である男性・・・

年収が1万ポンド以上有る大地主で、名前はダーシー氏



彼の年収を 現代の貨幣価値に置き換えると約1億円位だそうです。

不機嫌そうにして、ろくにダンスもしようとしません。他の出席者からリジーとの

ダンスを勧められてもあっさりと( 権高な口調で )お断り・・・

その会話を聞いていたリジーも好い気持ちはしません。 最悪の第一印象 でした。



ビングリー家に招かれたジェインは熱を出して寝込んでしまい、心配したリジーも

看病かたがた ビングリー家に滞在します。滞在中にもダーシー氏と話す機会はあっても、

やはり高慢な態度は好きになれません。



その頃、ベネット家に、遠縁の コ リ ン ズ 氏 が訪問します。このコリンズ氏は

牧師で ベネット家の財産を相続する立場にある男性ですが、訪問の目的はベネット家の

娘達の内から 誰かを妻に迎えようとするためでした。



同じ頃、近くの町に国民軍の連隊が駐屯することになり、将校の一人とベネット家の

娘達が親しくなります。彼の名はウィッカム、ハンサムで社交的なイイ男。


しかも、ダーシー氏と古くからの知り合いらしいのですが、双方険悪な雰囲気が・・・???

ダーシーの為に 自分の将来の設計図を台無しにされたとリジーに告げるウィッカム。

リジーは益々ダーシー氏のことが嫌いになります・・・・・




この物語は全部で61章ありますが、大体ここまでで3分の1位かな?

登場人物は非常に多く、全部で 3 0 人 以 上 ・・・昔、初めてこの作品を読んだとき

忘れないように、名前をメモ書きして読んだものです。



ドラマティックな事件は これといって起らないのですが、この辺りまで読むと

面白くて止められなくなりました。



とにかく、登場人物の一人一人のキャラクタが生きているのです



理知的ではあっても皮肉なユーモアの持ち主であるベネット氏は、自分の( 特に下の w )

娘たちの事を「 我が国一番の 馬鹿娘 」と呼んだりもしますし、コリンズ牧師から

プロポーズされて断ったリジーに対しては


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

お母さんは、おまえがコリンズさんのプロポーズを断ったら、二度とおまえの顔

を見たくないと言っている。だがお父さんは、おまえがあんな男と結婚したら、

二度とおまえの顔を見たくない

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


・・・なーんて事を 言っちゃう人ですからね ww



また、ベネット氏から「あんな男」呼ばわりされるコリンズ氏も、

いまどきの表現をすれば「 超 キ モ イ 男 」 ww



リジーに結婚を断られると、今度はリジーの親友の シ ャ ー ロ ッ ト にプロポーズと

いう荒業をやってのけます。



20代の後半( 当時としては嫁き遅れ )になっていたシャーロットは 安定した暮らしと

家庭が欲しいだけの理由で あっさりとOKしてリジーを仰天させます。



さて、長姉ジェインとラブラブ状態だったビングリー氏でしたが、突然新しい家を

引き払って ロンドンに行ってしまいます。 その後は何の便りもなく、彼の妹の

キャロラインから ジェインに、兄は多分もう戻らないし、ダーシーの妹と結婚すれ

ばどうかと みんな思っています、というイヤミな手紙が・・・



しかし、何といっても一番読みごたえが有ったのは、主人公のリジーとダーシーの関係 でしょう。


ダーシーも初めは リジーをそれ程の美人でもないと思ってはいても 何度か会って

話をする内に、その機知に富んだセンス溢れる会話に段々魅かれていくように

なります。けれども、生来のプライドの高さから 無邪気に好意を表現できません

一大決心をして愛を打ち明けたのですが・・・・


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

彼は実に雄弁に語ったが、愛以外にも告白することがあり、どちらかといえば、

プライドに関する告白のほうが雄弁だった。つまり、自分はあなたを愛している

が、身分も家柄も違うので、あきらめるべきではないかと悩み苦しんだというこ

とが、めんめんと述べられた。自分の立派な家柄を傷つけて結婚しようとしてい

るのだから、当然かもしれないが (後略)

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


いやいやいや・・・愛している、という告白のはずが、聞きようによっては

馬 鹿 に さ れ て い る と し か 思 え な い んですが ww




青天の霹靂とも言える 愛の告白をされたリジーはきっぱりと、かつ誇り高く

断ります。しかし、ダメ押しのように

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

あなたの親戚の社会的地位の低さを、ぼくが喜ぶと思いますか?

自分より 階級の低い親戚ができることを、ぼくが喜ぶと思いますか?

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


ケンカ売ってんのか?!と怒りがこみ上げてくるようですね ww


確かに事実ではあるのですが、 英 国 の 階 級 社 会 の シ ビ ア さ (現代でも多分にあり)を

考えると やむを得ない面もありまして・・・



このダーシー氏の良さが 読者やリジーに分かってくるのは、このプローポーズを

断られてからになります。



末娘・リディアの駆け落ち騒動、ビングリー氏が戻り ジェインへのプロポーズ・・・

さまざまな出来事の後、リジーはダーシーの愛を受け入れることに・・・




この作品は200年以上前に書かれた作品 です。当時の社会や風俗など、現代とは

異なる部分もありますが、人 の 心 の 機 微 は 変 わ ら な い という事を再認識させて


くれた作品でした。燃え上がるような恋の結果の結婚ではなく、お互いに少しずつ

理解し合って行くさまが 好感が持てます。

この辺りは 極めて良質なラブ・コメディで、読後感がとても好かったな・・・




翻訳については、私が最初に読んだのは新潮社の中野好夫氏でしたが、最近では

各社から出版されていて それぞれ個性がありますね。

ちくま文庫で最近読み直しましたが、これが一番現代的で読みやすいかもしれません。


特に、この作品の書き出しは非常に有名 ですが 訳者によっても・・・・・



It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a

good fortune, must be in want of a wife.


金持ちの独身男性は みんな花嫁募集中にちがいない。

これは 世間一般に認められた真理である。

( ちくま文庫:中野康司訳 )




独身の男性で 財産にもめぐまれているというのであれば、どうしても

妻がなければならぬ、というのは、世のすべてがみとめる真理である

(河出文庫:阿部知二訳)



これだけニュアンスが違いますから。 岩波文庫は少々直訳っぽい感じがしたかな?

パブリックドメインですから、原文もすべてオンラインで読めますので、興味のある

英語に強い方は一読の価値があるかも?


http://www.gutenberg.org/files/1342/1342-h/1342-h.htm




この作品は2度映画化されていますが、映画よりも B B C の ド ラ マ 版 が 最 高 でした。

英国で放映中は、路上から人通りが絶えたといわれる程の出来映えでしたから。



BSでも放映されたそうで、ひょっとしたら あなたも御覧になったかな?

私は友人から借りて観たのですが、DVD2枚組み・5時間ぶっ通しで観ちゃいました 。

どうしても続きが観たくて止められなくて ww  原作を読んでいて 結末は知っているのにね。



その後は当然購入しましたとも! 原作に忠実で 役者さんが皆、演技が上手いんです

今でも折にふれ観て楽しんでいますから。



ああ、今日は随分長くなってしまいました・・・ではでは、この辺で終わりましょう。

またね。



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2013年05月08日

「 松の日 」に 読む 『 嫌 わ れ 松 子 の 一 生 』   by 山田 宗樹


こんにちは、いつも来て下さってありがとう。


5月8日は「 松 の 日 」です。 日本の松を守る会が 1989年に制定したもので、

日本の代表的な 樹木の松を保護していく事が目的になっています。

で、「松」です。姓名にもよく使われている漢字ですが、女性の名前で「 松 子 」 ・・・


『 ソ ロ モ ン の 偽 証 』 にも 松子という少女が脇役で登場しましたし、大谷崎『 細 雪 』

蒔岡四姉妹・長女の名前も「松子」でした。


けれども、今ではこの作品のヒットで「松子」といえば、もう・・・・・。



はい  今日の 読書は 『 嫌われ松子の一生 』  by 山田 宗樹


    『 嫌われ松子の一生 』 上・下

    著者:山田宗樹

    出版社: 幻冬舎

    サイズ: 文庫


著者の 山田宗樹氏は 1998年、『 直 線 の 死 角 』で横溝正史ミステリ大賞を受賞

2003年にこの『 嫌われ松子の一生 』で大ブレイク。 その後は 2012年に 『 百 年 法 』で

日本推理作家協会賞を 受賞された方です。決して多作ではないのですが、映像化作品の

ヒットもあり 今後も期待できる作家でしょうね。 文章もなかなか 読ませます。



さて、本作は主人公・ 川 尻 松 子 の22歳から始まり、53歳で東京の一人暮らしの

アパートで 遺体(殺された?)が発見されるまでを描いた作品です。

“ あ る 不 幸 な 女 の 一 生 ” ・・・ともいえる作品なのですが・・・



物語は、松子の甥・大学生の の下宿先を訪れた父(松子の弟)から

松子の 死後の部屋の後始末を頼まれたところから始まります。


30年前に蒸発したまま 音信普通の伯母・松子に何があったのか?


現在の甥の目から俯瞰して( 鳥の目で )語られる松子&係わりのあった人々の姿と

過去からの、松子自身のリアルタイムでの姿が平行して語られてゆきます。




昭和45年 松子22歳 生まれ故郷・福岡県で 中 学 校 の 新 米 教 員 です。

修学旅行の下見から 物語はスタートしますが、子どもの頃から優等生ではあって

も、どこか無防備で隙の多いキャラクタが仄見えます。


そうして、修学旅行先での窃盗事件の稚拙な対応・・・松子としては、犯人の生徒・ 龍 洋 一

かばうつもりで、自分が盗んだと 旅館に告げ お金を返そうとするのですが

手持ちのお金だけでは足らず、同僚のお金を盗んでしまいます・・・



はあ? 何をやってんの?  バカじゃないの?というのが常識的な感想ですよね。

結局は、全てが裏目に出て 彼女は学校を辞めざるを得ない状況に・・・。


★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

小学生のころから優等生だったわたし、通信簿もオール5だった わたしが、

何回も 学級委員や生徒会の役員を任せられた わたしが、処分される。

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


ここで読者は失笑するでしょうね・・・「お勉強」はできても愚かしい女だと。

そうして松子の 転 落 は こ こ か ら 始 ま り ま す ・・・・



松子は そのまま失踪して、次に読者の前に姿を現すのが 昭和46年の終わり、

場所はソープランド( 時代的にトルコ風呂と称されていた頃です )の面接場所・・・!

しかし、結局は覚悟不足?で断られてしまいます。


同棲している男性は 作家志望の典型的なヒモ男ですが、太宰治に傾倒している

イタイ男・・・彼の自殺後には友人の男性(妻子あり)と交際するものの

彼には 遊びでしかなかった事を 残酷な形で思い知らされます。



そうして・・・彼女が向かったのは かって断られたソープのお店でした。

めでたく?採用された松子は 真面目に!お仕事に励んだ結果NO・1にまでなり

貯金も出来て、ここで足を洗えば人生の軌道修正は出来たはずなのですが、

心の隙間を突かれたのか、新たに登場したタチの悪い男を養う破目に・・・



雄琴で働くようになった松子は、やがて覚醒剤にまで手を出し、同棲していた男との

別れ話のもつれから、 彼を刺し殺してしまい 逃走して東京へ・・・・・



自殺しようとしても 死に切れず、偶然知り合った理容師の男性とつかの間の同棲を。

しかし、全国指名手配されていた松子はあっけなく逮捕され、刑務所で服役のはめに。


出所後は、服役中に身につけた美容技術で 美容師として働きます。

これでようやく落ち着けるか・・・とは ならないのが 松子の松子たる所以・・・



生涯の要所要所で出会う男性を、思 い っ き り 愛 し 過 ぎ て 逆 に 不 幸 に なってしまう。



勤務先の美容院に客のボディガードとして現れた男性・・・それは 松子の転落の

きっかけとなった元教え子・龍洋一でした。松子が好きだったと告白され、

そのまま同棲が始まり・・・新しい地獄の 幕開けです・・・


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結局、男だね。男ができるとね、いっそう仕事に精を出すタイプと、男にのめりこんで、

仕事がおろそかになるタイプがいるけど、松子は後の方だったみたいだね。

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


↑松子が勤務していた美容室オーナーの言葉です。 普通の建設的な「恋愛」ではなく

「男ができた」と称される恋は 不幸で不毛な関係になりがちなのですが・・・



やがて 洋一に巻き込まれる形で 再び逮捕、服役・・・・・



そうして 最後の最後に 希望を賭けた時に、通りすがりの若い男女に おもしろ半分に殺されて

一生を終えた松子・・・



・・・いわゆる「 女 の 一 生 」ものでしょうか?



「女の一生もの」といえば、時代や運命に翻弄される悲劇的な作品、心にずしりと響く

重さを感じさせるイメージがあるのですが、この『 嫌われ松子〜 』の場合は

少し違うような・・・強いて言えば エミール・ゾラ 『 居 酒 屋 』の主人公・ジェルヴェーヌや

宮尾登美子氏の『 鬼 龍 院 花 子 の 生 涯 』 の花 子に 近いような気が?



生まれ育ちが貧しいわけでもない。充分な知性も教養もあったはずの女性。

なのに、負のスパイラルに巻き込まれ 抜け出すチャンスは何度もあったのに

常 に 悪 い 方 の 道 を 選 ん で し ま っ た 一 生 でした。



松子の一生は、単に運が悪いだけではなく、自身の 男を見る目が無さ過ぎる点や

計画性も無く ズルズルと流され易いところなど、本人自身の問題も多すぎて

良識有る( 普通の )常識人の目から見ると、愚かで どこかピントがずれた所はありますが

不思議と私は「松子」が嫌いではありません。 憎 め な い のです。



誰かを愛するのに 打 算 と 計 算 が 全 く 無 い のには 逆に驚かされます。

殆どの女性は 松子ほどには 愚かにはなれない



それは当然なんだろうけれど・・・それで良いのですが・・・



もちろん、松子は小説作品の中の登場人物であり、実在する生身の人間ではありません。

良かれ悪しかれさまざまな 「 可 愛 い 女 」の要素をギュッと凝縮させてあるから。


そして、やや古風とも思える名前と 作品のタイトルが 何か 逆 説 的 な 意 味 が有るよ

うに思えてなりません。


そうか・・・「 嫌われ松子 」は究極の「 愛 さ れ 松 子 」なのかもしれないね。

そんなことを考えてしまった一冊でした。



ところで、中谷美紀主演で映像化された『嫌 われ松子〜』ですが、トレイラーを

見る限りでは 随分ポップな仕上がりで驚きました。しかし、中谷美紀にとっては

辛い映画だったらしいと 映画批評で読んだ事があります。 一度見てみようかな・・・



さてと・・・今日はこれでお終い。

次のアップは もう少し明るい作品がいいなあ・・・バリバリの恋愛小説とかね ww

それでは、またね。






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2013年05月07日

「 コナモン 」の日に読む 『「 粉もん 」庶民の食文化誌 』  by  熊谷 真菜


こんにちは、今日も来て下さってありがとう。

5月7日は「コナモンの日」です。


コ ナ モ ン 」と聞いてピンとこなければ「 粉もの 」→「 粉もん 」で分かると思いますが

お 好 み 焼 きタ コ 焼 き のように 粉を溶いて焼き上げる食べ物かな?



日 本 コ ナ モ ン 協 会 (!)が57(こな)の語呂合わせで、5月7日に認定されました。

お好み焼きやタコ焼き・・・はい、わたし結構好きです♪  あなたもお好き?



はい 今日の 読書は 『「粉もん」庶民の食文化誌』 by  熊谷 真菜


著者:熊谷真菜

出版社:朝日新聞社

サイズ:新書280ページ

著者の熊谷真菜氏は 兵庫県西宮市生まれの生活文化研究家。

日本コナモン協会を設立した方で 初代会長に就任されています。


ちなみに公式HPはこんな感じで↓なかなか楽しいHPでした。

日本コナモン協会公式HP.jpg

http://www.konamon.com/

おそろいの赤いTシャツの皆さんは 道 頓 堀 た こ や き 連 合 会 のメンバーです。



氏の大学の 卒 論 が何と「たこやき」! この論文が出版されたのをきっかけにライターデビュー。

「タコヤキスト」とも称される まさに筋金入りのコナモン愛好家でいらっしゃいます ww

さて 「コナモン」の定義ですが この本によると お好み焼きやタコ焼きだけではなく

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

粉もんは、「粉もの」、漢字では「粉物」。粉で出来た食べものをさす。

具体的には、たこ焼き、お好み焼き、うどん・・・、粉から作られたものを

思い浮かべてもらえば、それはすべて粉もんだ。

そうめん、冷や麦、蕎麦、おやき、団子汁、ラーメン、冷麺、チヂミ、ナン

パスタ、餃子、豚まん、天ぷら、フライ、ピッツァ、ビーフン、パスタ、パン、

ケーキ (中略)あげると切がないが、すべて粉もん。

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★

つまり、粉 を 使 う も の 全 般 を 指 すのですね。もちろん、日本だけではなく

世界中に存在する料理です。



日本では どちらかといえば B級グルメとされる事が多いコナモンについては

本格的な文献や資料が少ないとされていますが、著者の熊谷真菜氏は友人から

「 なぜ大阪にたこ焼き博物館がないのでしょうか 」というメールを受け取った事が

きっかけとなり、コナモン協会設立に至ったそうです。




そういった あらゆる「粉もん」を調査し、ルーツを日本から世界中に至るまで

調査した本です。

いわば著者の「粉もん」研究の集大成といってもよいでしょう。



決して堅苦しい本ではありません。読みながらトリビアの如く「 へ え 〜 ! 」

思うことが多々あり、非常に楽しい一冊でした。



日本でのコナモンの歴史をさかのぼると平安時代。

中国からの外来文化として登場しました。唐菓子や索餅(さくべい・後のそうめん)

など、当初は貴族社会の贅沢食でした。その後、時代を経て庶民に普及します。

実際に 庶民が日常的に小麦粉を使うようになったのは近世、江戸時代に入ってからの事でした。




現代のコナモンの代表といえば・・・ た こ 焼 き !!



たこ焼きって、外で買ってくるものとばかり思い込んでいたのですが「 たこ焼き器 」を

利用して 家でも焼けるんですね・・・


Amazon の検索窓で「たこ」と入力したら 予測変換で「たこ焼き器」と表示されましたわ www

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

だが、たこ焼きは中身を選ばない。海の幸、山の幸、里の幸、発酵系、お菓子系

海外系・・・入れるものはなんでもいい。我が家では、タコの他に、ウィンナー

ソーセージ、サラミ、するめ、ネギと挽肉、もちとチーズ、えびとマヨネーズ、

豚とキムチ、えんどう豆 (中略)無限に試してきた。 (中略)

たこ焼きに邪道はない。うちの娘は最後に必ずチョコを入れている。(中略)

あの鍋で焼いて、一口サイズの丸い形であれば、中は何を入れようと「 たこ焼き 」

と私は考えている。たとえタコが入っていなくとも、たこ焼きだと。

★━━━━━━━━━━━━━【一部抜粋 】━━━━━━━━━━━━━━━★


なぜならば・・・とタコ焼きのルーツに迫ります ww


また、麺類についても詳しく語られています。その他、「おやき」や「もんじゃ」

も捨てがたいですよね。



また、第五章で語られる「粉もんの地位──代用食の時代とアメリカの小麦戦略」

は読み応えがありました。


本来、庶民の安くて美味しい「粉もん食」が戦時中の(お米の代わりの) 代 用 食

として位置付けられて以来、おいしさの地位が落ちて「まずくて最低レベルの食

べ物」として位置づけられてしまった、とのこと。



実際に、政府推奨のレシピも載っていましたが、到底食べられそうもありません。

戦後の食糧難の時代に、アメリカからの援助・・・早い話がアイゼンハワーの

余剰小麦粉対策だったんですけどね・・・による パ ン 食 の 普 及 はあなたも御存知

かもしれません。



しかし、ダイレクトにアメリカの小麦粉製品を受け入れたわけではありません。

繊細な日本人の味覚に合うように形を変え進化して来ましたから。



また、最終章には文化人類学者石毛氏との対談も収録されていて、軽い新書ものでは

ありますが読み応えのある一冊でした。これまで「コナモン」って特に意識したことも無かったし・・・

なかなか深いものがありました ww


さて、今日はこれでおしまい。またね・・・。



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